日本IBM、グリッド技術活用したストレージの仮想化ソリューション提供へ

田中好伸(編集部)

2007-08-30 18:52

 日本IBMは8月30日、複数箇所に分散するデータを効率的に管理する「グリッド・ストレージ・ソリューション」を9月14日から提供することを発表した。初期導入時の価格は2496万6900円からとなっている。

 グリッド・ストレージ・ソリューションは、物理的に分散した複数のストレージ環境を、仮想的に一つの大きなストレージ環境として利用できるというもの。物理ストレージの場所を意識することなく、データの保存、検索や読み出しができる。また、ディスク装置のみならずテープ装置も管理対象にできるため、テープ・ストレージ・ソリューションの暗号化機能や改竄防止機能を活用したデータの保管も可能となっている。

 具体的には、レントゲンやCTによる医療画像、CADでの設計図面、報道機関の高解像度写真や動画といった、更新が発生しない参照用の大容量・大量のデータを保管・共有することが必要なシステムで、特に効果を発揮すると説明している。データを分散させることで、障害や災害への対策にも活用できる。

 またグリッド・ストレージ・ソリューションは、データの保存場所やアーカイブ方法などデータの保管ルールを、独自に「ポリシー」として設定・実行できるようにもなっている。ユーザー企業の業務に合った柔軟なストレージ環境の構築や、冗長化による障害対策・災害対策も実現できるとしている。

 データの新規保管の際、物理的に2箇所に自動保存するというポリシーを設定することで、システム全体を冗長化することなくデータを多重化できる。また、常に1カ所のみへの保管というポリシーを設定すれば、最も参照頻度の高い物理ストレージのみに自動的に保管場所を変更することや、一定期間アクセスのないデータを自動的にテープにバックアップを取って、ディスクから削除という設定をすることで、グリッド・ストレージ全体の容量の最適化が可能になっている。

 通常参照している物理ディスクが故障した場合でも、システムからは他のディスクに保管されたデータや、テープへバックアップされたデータを同一のストレージとして参照できることから、データ復元作業の手間を省くことができるという。システムを止めることなく、故障したディスク装置の交換が可能であり、必要な時に必要な分を追加できるため、システムの計画停止も不要になると説明している。

 グリッド・ストレージ・ソリューションの構成例は以下の通り。

  • 最小初期構成:
    グリッドストレージ管理サーバ:IBM System x 3650×4台
    SANストレージ装置:IBM System Storage DS4200(6テラバイト)
    グリッドストレージ用ソフトウェア「IBM Grid Access Manager(GAM)」一式
  • 価格:
    初期導入時最小構成価格:2496万6900円〜
    ディスク1テラバイトごとの追加価格:51万6600円〜
    ディスクは初期構成以降1テラバイト単位で追加が可能

 対応するハードウェアは以下の通り。

  • グリッドストレージ管理用サーバ
    IBM System x 3550
    IBM System x 3650
  • ストレージ
    IBM System Storage DS4000シリーズ
    IBM System Storage DS8000シリーズ
    IBM System Storage EXP3000 SASストレージ拡張装置
    IBM System Storage SANボリューム・コントローラー(SVC)
    IBM System Storage DR550

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