動きの速いIT業界に身を置いていると、はるか昔と思っていたことが、実は、つい最近のことだったという、ちょっとしたタイムトリップのような体験をすることがあります。「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」ともいわれるIT業界。時の濁流の上澄みを、そっとすくい上げてみましょう。
さて、今回のテーマは、「蔵出し業界紳士録（前編）」です。
PC業界をリードし、その成長を支えてきた多くのパイオニアたち。かつては「若い」とされた風雲児たちが、今では還暦を迎えたり、定年まであと数年という世代になり、まさに紳士としての風格も漂いはじめています。大手企業で社長や役員にまでのぼり詰めた人、ベンチャー企業を支援する立場に転じた人、そして、いまだに現場で熱い挑戦を続けている人など様々です。今回と次回の2回に渡って、PC業界で活躍し、その後、大きく飛躍した人たちを振り返ってみます。
それではこれから、あなたをIT業界の過去へと誘います……。（画像をクリックすると、次のページへ進みます）
写真は、1993年に日本における初の製品記者会見にあわせて来日した米Dell会長のMichael Dell氏。1984年に18歳でDell Computerを設立。日本法人設立前から、折を見て来日していた。設立から数年間は、会議室には椅子を置かないという仕組みを導入。立って会議をやれば、短時間で会議が終了するという、効率化とスピードを重視するためのものだった。日本に来日すると、今でも必ず秋葉原を訪れる大の「アキバ好き」。パーツや掘り出し物を探しているようだ。当時、国内最大規模を誇っていたパソコン専門店の「ラオックス ザ・コンピュータ館」では、Dell氏の来店を、同社幹部がそろって出迎えようとしたものの、時間になっても現れず、全員が心配するという事件があった。ところが、店員の「1時間以上前から店頭のパソコンでゲームをやっている外人がいる」との報告であわてて駆けつけると、なんとそれがDell氏だったという。（画像をクリックすると、次のページへ進みます）
