また、「これまで報告、検討、実施された改善のアイデアはシステム上に検索可能な状況で共有されているか」および「模範的な業務のつい遂行例はシステム上に検索可能な状況で共有されている」という設問には、多くが「できていないので実現してほしい」と答えている。
こうしたデータから、「“業務システムに近いデータは検索可能なものが多い”が、“ノウハウやベストプラクティスなど、属人化したデータの検索はできない”という傾向が読み取れる」澤氏は話す。
次にIPAでは、PCの操作を映像で記録し、そのデータを分析することで業務を可視化する調査を実施。ビデオやツールを活用することで、きわめて詳細な観察と分析が可能になるという。
澤氏は、「○○のファイルを送ってください」とうメールを受け取った担当者が、そのファイルを見つけるために、いくつものフォルダを開いて探す光景を録画したビデオを紹介した。
「ファイル名が分かっているにもかかわらず、そのファイルを見つけるまでにいくつものフォルダを開き、時間をかけて探しているのが現状だろう。こうした経験は誰にでもあるのではないだろうか。この時間を積み上げていくと、かなりのムダな時間になる」(澤氏)
たとえばある製造業の企業で、アプリケーションの稼働状況を調べたところ、最も使用されているのが「Lotus Notes(90%がメール操作)」で次に「Microsoft Excel」、そして「Explorer(ファイル操作)」と続いている。
この企業の調査ではExplorerの操作は全体の約10%。つまり1日の作業時間の10%をファイル検索に費やしていることになる。澤氏は、「この会社のある役員はこの結果を見て激怒した。製造業では10%の効率化がどれほどの生産性向上につながるかをよく理解しており、10%の時間を無駄にしていることが許せなかったためだ」と語った。
こうしたことから、「PC作業においては“メール”と“ファイル探し”の作業効率を改善することが最大のポイントとなる」と澤氏。これを実現するツールとして同氏は、「Microsoft Outlook 2007」および「Microsoft Office SharePoint Server 2007」のデモを紹介した。
Microsoft Outlook 2007では、添付ファイルの高速検索や検索条件の保存および1クリック検索、テーマ別のメールの並べ替え、自動仕訳など、結果思考のユーザーインターフェースにより、メール作業を効率化することができる機能をデモして見せた。
また、Microsoft Office SharePoint Server 2007では、自然言語によるフルテキスト検索や日本語形態素解析、シソーラス辞書、ユーザー定義辞書をはじめ、多言語対応のワードブレイカー、ノイズワードを含めた検索など、精度の高い広範な検索機能が紹介された。
「メールとファイル検索の効率化を実現することで、かなりの生産性向上につながる。自社のデータ活用において、何ができていて、何が必要なのかを調査し、必要なところに、必要なソリューションを導入することがインフォメーションワークの効率化につながる。そのために必要な支援を今後もマイクロソフトは提供していく」(澤氏)