ID-SIS仕様は、パーソナルプロファイルサービスやアラートサービス、カレンダーサービス、ウォレットサービス、コンタクトサービス、位置情報サービス、プレゼンスサービスなどのアイデンティティサービスが可能。一方、ID-WSFは、相互接続可能なアイデンティティサービス、許可ベースの属性共有、アイデンティティサービス記述、ディスカバリおよび関係するセキュリティプログラムを作成、構築するためのフレームワークを提供する。
これらリバティ・アライアンス仕様のアーキテクチャは、すべてSAMLやSOAP、WSS、XMLなど、既存の標準仕様に準拠している。
ユーザー事例と適応分野
すでにさまざまな取り組みを行っているリバティ・アライアンスだが、各社の取り組みや適用事例などはあまり聞こえてこなかった。しかし、2006年末までには、10億以上のリバティ・アライアンス仕様に基づいたIDやデバイスが登場している。
適用分野としては、たとえばAOLが外部アプリケーション連携のための開発プラットフォームに導入しているほか、スターアライアンス、フェデリティ証券、アメリカン・エクスプレス、GM、Intel、Hewlett-Packard(HP)、Sun Microsystemsなどが、企業内およびパートナー企業との業務効率化のためのポータルにリバティ・アライアンス仕様を採用している。
また、Nokiaでは、リバティ・アライアンス仕様を組み込んだOSを搭載した携帯電話を提供しているほか、VodafoneやフランステレコムグループのOrange、ドイツテレコムなどの携帯キャリアも採用。そのほか電子政府では、オーストリア、フランス、フィンランド、ノルウェイ、米国などで採用されている。
日本では、世界で初めてリバティ・アライアンスを実装した大々的な実証実験である「EduMart」を実施している。この実証実験は、総務省が行った教育コンテンツの流通システムで、NEC、NTTグループ、サン・マイクロシステムズがサポートした。
EduMartは、国や地方自治体、学校、民間事業者などが提供するユーザー認証やコンテンツ配信/視聴などの機能を提供するシステムを、1回の認証で連携する仕組みを実証するもの。民間事業者が保有しているまりティメディア教育用コンテンツを、日本全国の小中高等学校に配信するための相互運用性を実現している。
また、NTTコミュニケーションズがリバティ・アライアンス仕様に基づいたSSOサービス「マスターID」を提供しているほか、NTTデータが自社内の出張旅費新生システムとJAL Onlineをリバティ・アライアンス仕様に基づき連携している。
今後の展開
今後の展開としてリバティ・アライアンスでは、さらなる普及促進、オープン化、協調路線の推進の3つを重点課題に取り組みを推進する。具体的には、Web2.0環境におけるアイデンティティ管理の実現やアイデンティティガバナンス(内部統制)、アイデンティティプロビジョニング(保守運用)、相互運用性試験のオンライン化などの取り組みを展開していく計画だ。
また、オープン化の一環として、オープンソースソフトウェアの開発を促進することを目的とした「openliberty.org」を開設したほか、日本の活動拠点である日本SIGのオープン化も2007年6月14日に公開している。日本ではまた、2007年4月より三菱電機がリバティ・アライアンスに参加を表明している。