ヴイエムウェア、デスクトップ仮想化ソフト最新版を発表

藤本京子(編集部)

2007-09-19 19:37

 ヴイエムウェアは9月19日、デスクトップPC向け仮想化ソフトウェアの最新版「VMware Workstation 6(日本語版)」と、仮想化技術でデスクトップPCを管理するためのソフトウェア「VMware ACE 2 Enterprise Edition(日本語版)」を発表した。

三木氏 ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木泰雄氏

 VMware Workstationは、最初のバージョンが米VMware創業1年後の1999年にリリースされたという同社にとって一番歴史のある製品だ。今回のバージョンアップで第6世代となり、「ほぼ毎年アップグレードしていることになる」とヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏。三木氏によると、Workstationの新機能を今後サーバ用ソフトウェアに展開する予定もあるという。

 VMware Workstationの新バージョンでは、ゲストOSまたはホストOSとして「Windows Vista」が使用できるようになった。マルチモニタでの表示も可能となり、1つの仮想マシンを複数のモニタで見たり、複数の仮想マシンを別々のモニタで見たりといったこともできる。また、USB 2.0もサポートした。

 ほかにもVMware Workstation 6は、仮想マシンの記録と再生を試験的にサポートした。これは、入力や出力、途中の決定内容など、仮想マシンのすべてのアクティビティを記録する機能だ。ユーザーは、記録開始時点までさかのぼってアクティビティを再生できるため、仮想マシンが毎回正確に同じ動作をするか確認したり、バグを再現して解決したりできる。また、新バージョンは統合開発環境(IDE)から仮想マシン内部のプログラムを直接展開、実行、デバッグできるため、「Eclipse」や「Microsoft Visual Studio」と統合してデバッグ時間が短縮できる。

 ヴイエムウェア システムズエンジニアリング マネージャーの平谷靖志氏は、VMware Workstationが「IT管理者や、ソフトウェア開発者およびテスト担当者、セールスやトレーニング担当者などに最適だ」と説明する。「IT管理者は、本番環境の導入前に仮想マシンでデスクトップとサーバを構築し、テストするといった使い方が可能だ。開発者も、複数のOSとアプリケーションを1台のマシンで構築できるため、開発やテスト期間の短縮やハードウェアコストの削減に結びつく。また、トレーニング担当者も、さまざまな仮想マシン上で複雑な構成や多層構成のデモを実行できる」(平谷氏)

 一方のVMware ACE 2は、企業で統一したPC環境を作る際、企業ポリシーに合わせたOSやソフトウェアなどをパッケージ化し、そのパッケージ(ACEパッケージ)を仮想マシンとして各個人のPCに導入することで、企業内のPC管理を容易にする製品だ。ACEパッケージは、Workstationが搭載されたPCで作成する。

 パッケージ化された仮想マシンは、PCにそのままインストールすることもできるが、新しい「Pocket ACE機能」を使ってUSBメモリなどの外付けデバイスから利用することも可能だ。仮想マシンの入ったUSBメモリを自宅のPCに差し込めば、自宅でも企業ポリシーに合ったPC環境が再現できることになる。

 ACE最新バージョンは、Workstation 6を基盤としているため、WorkstationでサポートするVistaやUSB 2.0がACEでもサポートされている。また管理面では、「ACE Management Server」を利用して、一元サイトから各仮想マシンや仮想マシングループのポリシーを更新することもできる。

 今回デスクトップの仮想化ソリューションを拡充したヴイエムウェアだが、XenSouceの買収を発表したCitrix Systemsもデスクトップの仮想化には注力している。この買収について三木氏は、「市場への影響は大変大きい。デスクトップの仮想化はさらに拡大していくだろう」としており、ヴイエムウェアとしてもデスクトップソリューションを今後も強化していく考えを示した。

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