アドビ、Buzzwordの買収など複数のプロジェクトを発表--Max 2007で

文:Martin LaMonica(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2007-10-02 19:51

 シカゴ発--アドビは米国時間10月1日に開催された開発者向けカンファレンスMax 2007で、複数の技術プロジェクトや製品の詳細を発表するとともに、オンラインサービスから売り上げを得るモデルについても明らかにした。

 チーフソフトウェアアーキテクトであるKevin Lynch氏は午前中の基調講演で、オンラインワードプロセッサ「Buzzword」を買収したと発表し、Adobeのランタイム環境であるAdobe Integrated Runtime(AIR)を活用するようにパートナーによって開発されたいくつかのアプリケーションを紹介した。AIRはまだベータ版であるが無償でダウンロードでき、ウェブアプリケーションをデスクトップアプリケーションのように動作させることができる。

 Adobeは開発者やデザイナーを対象にしたその他の技術についても簡単に紹介した。同社の最大の顧客はクリエーターやデザイナーだが、Adobeの人気はこのところ主流となっているウェブ開発者にも広がっている。一方、Microsoftはデベロッパー製品によって勢力の増強を目指しつつ、より多くのデザイナーやクリエーターを顧客として獲得しようと努めている。

 Adobeの幹部は、「Flash Player 10」(開発コード名:Astro)を披露した。3軸上で画像を表示および操作できるようになるなど3D機能が強化されている。

 Flash Player 10には、特に外部の開発者がFlashイメージに独自の効果を付けられるようにチューニングされた新しいプログラミング言語(開発コード名:Hydra)が搭載される。Adobeの技術者らはまた、Flash Playerのテキスト表示も向上させようと努めている。

 Lynch氏は基調講演後の報道関係者とアナリストを対象とした説明会で、同社が2日に実演する予定のその他のいくつかのプロジェクトについても詳細を明らかにした。

 「Cocomo」はホステッドコラボレーションサービスのための技術プロジェクトである。

 また、Adobeは1日、オンラインでドキュメントを共有できる「Share」というプログラムのベータ版を発表した。同サービスおよびその他は、インターネット上で画面を共有できる「Adobe Acrobat Connect」を補完するように設定されている。Cocomoは、オンラインチャットなど複数のホステッドコラボレーションサービスで構成される。

 「Adobe Connectを使用すれば画面を共有してビデオ会議ができる。われわれはそれを開発者向けのプラットフォームとして開放する予定だ。(中略)開発者らは、Adobeがホスティングするアプリケーションを作成できる」(Lynch氏)

 Adobeはすでにウェブビデオに多額の資本を投入して、FlashにH.264規格の高品位(HD)ビデオのサポートを追加しようと計画している。同社はまた、自社のプラットフォームへの音声通信の追加にも意欲的だ。

 「Pacifica」はAdobeのVoIP製品の名称で、Lynch氏が2日に実演すると見通しだ。

 「Thermo」は開発者やデザイナーがアプリケーションを作成するときのワークフローを改善するプロジェクトである。Thermoはビジュアルツールであり、より多くの開発者がリッチなインターネットアプリケーションを作成できるようになるとLynch氏は述べる。

ホステッドサービスの売り上げ増加

 最高経営責任者(CEO)であるBruce Chizen氏と社長兼最高執行責任者(COO)であるShantanu Narayen氏は報道関係者とアナリストを対象とした質疑応答の時間に、Adobeは売り上げの分配モデルによってオンラインサービスと広告からより多くの売り上げを獲得したい意向であると述べた。

 たとえば、Adobeは動画番組を「Adobe Media Player」で配信する契約をCBS、PBS、Yahooなどの企業と結んでいる。

 こうしたコンテンツ制作業者は、Adobe Media Playerを通じてさまざまな方法で広告を表示することができる。Adobeは売り上げの一部を分配するとともに、視聴者がどのようにコンテンツを視聴しているかに関する分析といった追加サービスを提供できると、Chizen氏は述べる。

 また、「Photoshop」のオンライン版である「Photoshop Express」についてChizen氏は、ウェブサイトから直接サービスを提供することになるだろうと述べた。

 Adobe幹部によると、同社はBuzzwordといった製品のためのコラボレーションサービスで、個人ユーザーに対して無償サービスとともにドキュメントのバージョン管理やワークフローといった有償サービスも提供する予定である。

 「多くの異なるビジネスモデルが存在する。アプリケーションの種類、対象となる消費者、そして消費者が広告を必要としているか否かによって事情が違ってくるが、広告が不要の場合はサブスクリプションベースになるだろう。現在、多くの実験が進行中だ」(Chizen氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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