「2007年度日本OSS貢献者賞」決定--「YARV」開発の笹田耕一氏など4人に

吉澤亨史 2007年10月12日 18時44分

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 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は10月12日、優れたオープンソースソフトウェア(OSS)の開発者と普及に貢献した者を表彰する「2007年度日本OSS貢献者賞」の受賞者を選定した。第3回目となる今回は、以下の4人が選定されている。

  • 小山哲志氏:
    日本PHPユーザ会や日本UNIXユーザ会などを通じ、長年、OSS活用のシステム構築に携わる技術者の育成に貢献している。各種カンファレンスイベントなどでの講演に加えて、企画や運営、実施に関わり、その活動を継続している点は、コミュニティー組織構築でも大きな成果を得ている。コミュニケーション力の高さやシナジーを生み出せる技術者であり、技術者として社会に貢献するひとつのロールモデル(模範)と言える。
  • 笹田耕一氏:
    Rubyを高速に実行するための言語処理系「YARV(Yet Another Ruby VM)」の開発者としてRubyの高速化に貢献しているほか、日本Rubyの会、Ruby会議、Rubyist MagazineなどRubyのコミュニティー活動を継承しつつ、Rubyの普及・促進に大きな影響を与えている。学生時代からYARVの開発を進めており、大学で学んだコンピュータの基礎理論を駆使して、地道な言語処理系を実装した点やコミュニティー活動に積極的に参加している点が評価された。OSSに関わる学生や若手研究者のひとつのロールモデルともいえる。
  • 佐藤嘉則氏:
    組み込み向けなどの小規模なCPUへのLinuxカーネルを移植し、メンテナンスを継続している。同時に関連するツールチェーンなどの改善提案を行うなど、動範囲は広く実用性も高い。その成果はLinuxカーネルメインラインに取り込まれるなど、業績は国際的にコミュニティーから評価されている。また、自身の経験を組み込みLinux開発に携わる技術者に伝えるなど、活動は地味であるものの、日本の得意技である組み込み分野のソフトウェア開発をOSSの分野から支えていることも評価されている。
  • 松本裕治氏:
    自然言語処理の専門家として大学で研究し、その成果をさまざまなOSSとして公開して、現在も大学研究室としてのプロジェクトとして継続している。形態素解析システム「茶筌(ChaSen)」は代表的プロジェクトであり、日本語解析を必要とする検索エンジンなど、ほかのさまざまなOSSプロジェクトでも利用されている。大学での研究成果をOSSとして公開する流れは、産官学の連携を促進するとともに、OSSのあるべき姿のひとつとして評価されている。

 選定方法は、自薦、他薦により広く推薦を受けた候補者(52人)の中から、東京工科大学学長の相磯秀夫氏を委員長とする審査委員会の審査によって受賞者を決定した。表彰式は、10月30日に明治記念館で開催される「IPAフォーラム2007」の中で行われる。

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