ユーザーニーズの吸い上げと実現のノウハウが武器
山本氏は、近年特に新しく出てきているユーザー側のBIに対するニーズとして、「よりリアルタイムでの分析を経営に生かしたいという傾向がある」と話す。これは「オペレーショナルBI」などと呼ばれるものである。
旧来のBIは、一部のアナリストやマネージャーが分析を行い、その結果を企業の経営戦略に沿った行動目標の指針にするといった形で、比較的長期のスパン、短くても週次、日次といった感覚で利用されるものを指してきたケースが多かった。
それに対し、「オペレーショナルBI」では、店舗の現場担当者などから集められるデータを、ほぼリアルタイムに近い形で分析し、時間、分といった単位で、次に取るべき行動を把握し、経営に生かしたいというニーズに応えようとする。BOでは、こうしたリアルタイムに近いBIへのニーズにも、自社の統一プラットフォーム上で対応できるような体制を整えているという。たとえば、DWHにはまだ未格納のデータを組み入れた形で、アドホックな仮想のDWHを構築するような製品である。
「旧来のBIに用いられていたのは、元来CEO、CFOクラスが扱ったり参照すべきデータだった。そうしたデータの品質とトレーサビリティを高め、信頼性の高い出力をすることは今でももちろん重要である。しかし、現在ではさらに、デイ・トゥー・デイのオペレーションに必要な情報を、より現場に近い人々が求めるようになってきている。従来のようにユーザーが自ら能動的に情報を閲覧、分析するような“プル型”のBIから、状況に即して即時に担当者へアラートを発するような“プッシュ型”のソリューションが新たな動きとして出てきており、BIと呼ばれる分野の幅の広がりを感じている」(山本氏)
ユーザーニーズの広がりに対応するためのソリューションの構築には、ツールベンダーとしての製品ポートフォリオの拡充はもちろん、サポートを行うパートナーに蓄積されたさまざなノウハウが物を言う。BOがこれまで、専業ベンダーとして培ってきたノウハウは、他社に対するひとつの差別化となるはずである。
2008年にはSaaS型サービスの提供も予定
BOでは、2008年に、オンデマンドのSaaS型ソリューションを日本市場でも提供していくことを表明している。中堅、中小規模企業を対象としたもので、これまで大企業、グローバル企業を中心としてきたBusiness Objectsユーザーの裾野をさらに広げるものだ。
「Business Objects XIと同じフレームワーク上で、オンデマンドも提供していく。これは、将来性、堅牢性、大手のユーザーベースでの実績といった点で、中堅中小規模企業にも評価してもらえるものになる。顧客が成長を続けていく上で、同じプラットフォームがベースであることは大変重要。その成長に合わせて、アップグレードや規模拡大を容易に行うことができるためだ」(Khorana氏)
信頼性の高いデータをどのような形で「利用」して、新たな価値を生み出すか。既存の大きな顧客ベースから、そのニーズを吸い上げつつ、実現していくノウハウは、今後もBOにとって大きなアドバンテージのひとつであり続けるはずだ。