ステークホルダーとプロジェクトゴール
ここまでの過程でA君は、何のためにイベントに参加するのかをしっかりと理解することができた。しかし、その目的を果たすためには、様々な部門の協力が必要になるようだ。さらに、それぞれの部門ごとに果たすべき役割は違うため、実施にあたってはいろいろな意味での調整や合意が必要だ。
A君は、関係部門とどうやったら円滑に調整と合意ができるかを先輩に相談してみることにした。
A君:先輩、こんにちわ。今日もひとつ相談にのっていただきたいことがあるんですが。 先輩:やあ、A君。 なんだい? 僕でわかることであれば喜んで協力するよ。 A君:実は、イベントに参加する目的や狙いはわかったんですが、他部門にもいろいろと協力いただかないといけないと思いまして。それに、プロジェクトのゴールも明確にしたいのですが、どうやったら具体化できるかと……。 先輩:プロジェクトは通常、部門横断的に実行するのが当たり前だから、それは当然だね。気をつけなきゃいけないのは、ステークホルダーをしっかりと認識しておくことだよ。 A君:「ステークホルダー」? それは何ですか? 先輩:日本語で言うと「利害関係者」と言ったらいいかな。プロジェクトは1人で実施するものではないので、実施やその成果の影響を受ける部門や人たちが必ずいるんだ。マーケティングにはマーケティングの、営業には営業の役割や立場というものがあるから、そういう関係者の人たちをなるべく早く巻き込んで実施にあたっての目的を共有し、合意を形成しておくことがとても重要なんだよ。 A君:わかりました。まずは、どんな部門の方々に協力してもらい、どんなことをお願いしたいのか整理してみます。 |
A君は、その後ステークホルダーとなるべき部門の代表者に連絡をとり、プロジェクトへの協力を取りつけることにした。しかし、日ごろ役割や立場の違う部門の人たちと目的を共有したことのないA君にとってはどのようにコミュニケーションをとるべきかが悩みのタネだった。それぞれの部門がそれぞれの立場を主張するのは目に見えている。しかし、A君としては、それを1つの目的に向かってまとめる必要があるのだ。
A君は、早速先輩に相談することにした。
A君:実は、関係部門の人たちを集めて今回のプロジェクトの目的を共有し、具体的な協力を要請しようと思っているんです。 先輩:それはいい。関係者が目的を共有するというのはとても大切なんだ。 A君:そこで、今回のプロジェクトのゴールを設定したいと思っているんですが、どうやってコミュニケーションしたらいいかと思って……。ただ闇雲に意見を聞いてしまうと収拾がつかなくなりそうで。 先輩:そういう時は、関係者でブレーンストーミングをやってみたらいい。 A君:ブレーンストーミング? それは、どんな風にやればいいんでしょう? 先輩:プロジェクトの目的を達成する上で目標となるアイデアを、まずは部門を越えて自由に出し合ってもらうんだ。でも、ここで注意するのは人の意見を批判しないこと。実際にできるかどうかについては、その場で考えないことなんだ。 A君:なんか突拍子もないアイデアが出てきそうですね。でもそこで出てきたアイデアをどうやってまとめるんですか? なんかとても大変そうな気がしてきましたよ……。 先輩:そんな時こそ、MindManagerの出番さ。プロジェクターにMindManagerの画面を映し出して、ブレーンストーミングをやりながら、まずは皆のアイデアを集める。一通り出尽くしたらアイデアをグループ化して、全体を見ながら実現性や効果性を話し合いながら検証する。まずは、自分自身で「1人ブレーンストーミング」して練習してみてごらん。 A君:うーん、わかりました。早速やってみます。 |