この頃にはスマートフォン(Sanitariumが採用したのは「O2 XDAII」モデル)という新しいオプションも出てきており、バッテリ寿命のような初期の問題にも対処できそうだった。「PDAはデザインという点で最適な選択肢であり、バッテリも丸1日使用できるだけの寿命が確保できた」とHawken氏は説明する。
ほとんどのモバイル導入の事例とは異なり、このプロジェクトは営業チーム自身によってすべて管理され、社内の比較的小規模のITチームからの「従来のようなIT面のアドバイスはほとんど」なかった。このアプローチはやや異例ではあるが効果的なビジネス構造を反映している。同社では予測作業はIT部門の担当分野ではなく、営業チーム自身によって運用されているのである。
営業チームはスマートフォンを現場に普及させるうえで重要な推進力の役割を果たした。というのも、今回の導入が始まるまで多くの従業員は電子メールさえ使用したことがなかったからである。どの会社でもそうだが、多くの従業員は新しい技術に懐疑的だった。新しい技術を受容する文化を醸成するために、地域の営業マネージャーはチーム内で新システムを推進する従業員を1人選ぶという義務を課された。
こうした従業員は1カ所に集められ、3日間の研修コースを受けることになった。コースでは最初にモバイル機器、次にO4アプリケーションについて学び、それから日常のビジネスプロセスの一環としてこれらの機器を使いこなすという実地の訓練を受けた。研修が終わると、これらの「推進者」はそれぞれの担当する州に戻っていき、他の従業員がモバイルソリューションを受け入れるように奨励し、それを支援するという役割を担った。
Sanitariumの約70人の営業マンの残りのメンバーにモバイル機器を導入する過程で、従業員が機器に慣れることができるように、数週間かけて先にハードウェアを導入する方が良いという結論に至った。その後でアプリケーションを導入し、習得の負担がなるべく平均的になるようにした。
「基本的に、従業員が研修に入るときには『あなたの従来の仕事のやり方は今日で終わりだ。そして、ここから出て行くときには新しい方法で仕事をすることになる』と説明している」とHawken氏は言う。「10日もしないうちに、PDAで問題が発生すると『これでは仕事ができなくなる』と言い出すようになった。受容の程度はかなり高い」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ