Fusion Applicationsのリリースは2008年前半--顧客の疑問に答えたエリソンCEO

山下竜大(編集部)

2007-11-15 22:08

 Oracle Corporationが開催している「Oracle OpenWorld 2007 San Francisco」の4日目となる11月14日、基調講演にOracleの最高経営責任者(CEO)、Larry Ellison氏が登場。今回のカンファレンスで発表された仮想化戦略やFusion Applicationsの最新情報について総括した。

 基調講演のオープニングには、同日夜のパーティーにゲストで登場するBilly Joel氏が登場。「今回は30年前の写真を見せるイベントのようなので、私の30年前の写真も紹介しよう。今はだいぶ頭も薄くなったけどね」と会場を沸かせ、Ellison氏をステージに招いた。

 Ellison氏はまず、昨年のOracle OpenWorldで発表された「Unbreakable Linux 2.0」の現状について紹介、「Unbreakable Linux 2.0を発表してから1年。現在では、145カ国、27カ国語のサポートを提供している。スタートして1年を考えると大きな成果だった。今後さらに、Linuxサポートを拡大していきたい」と話す。

 Red Hat Linuxとの完全な互換性を保ちながらバグをなくし、Oracleユーザー向けのサポートを提供することを目的としたUnbreakable Linux 2.0だったが、Red Hatも相変わらず成長していることから、「“OracleのLinuxビジネスはうまくいってないのではないか?”という声も耳にした」とEllison氏。

 同氏は、「Linux市場はRed Hat以上の速度で成長しており、OracleのLinux事業もそれ以上のスピードで拡大している。Linuxは健全な市場であり、すでに1000社以上の企業が我々のLinuxサポートを採用している。また、開発パートナーも数多く協力してくれている」と市場の懸念を一掃した。

 Ellison氏はさらに、「今年は新しい発表もした。これはRed Hatがやっていないことであり、我々の差別化要因でもある」と話し、「Oracle VM」について紹介する。

 Oracle VMは、オープンソースの仮想化ソフトウェアであるXenハイパーバイザ技術をベースに、Linuxと仮想化ソフトウェアをソースレベルで統合し、完全なソフトウェアスタックとしてサポートと共に提供する新製品。Oracle Database、Oracle Fusion Middleware、Oracle Applicationsを認証しており、Oracle Enterprise Managerにより一元管理できる特長を持つ。

 Oracle VMは、64ビット、32ビットのLinuxはもちろん、Windows環境もサポート。12日の基調講演では、Oracleのサーバテクノロジ担当エグゼクティブバイスプレジデント、Chuck Rozwat氏が、あるプログラムが「仮想マシンA」で稼働しているときに、そのアプリケーションを止めることなく「仮想マシンB」にマイグレーションすることができる機能をデモで紹介した。

 「これは非常にクールな機能だ」とEllison氏。

 Oracle VMは、基本的にオープンソースであり、無償でダウンロード可能だが、必要であれば有償のサポートも提供される。サポート料金は4CPUで999ドルとなる。

 「サポート価格は競合に比べ非常に安価だ。また、さまざまなベンチマーク用のツールがウェブサイトで提供されているが、比べてみれば他社の仮想化ソフトウェアより劇的に高速化されていることが分かるだろう」(Ellison氏)

飛び入りしたのBilly Joel氏 基調講演のオープニングに登場して会場を沸かせたBilly Joel氏。

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