各事業の中核製品は?
NECは、ネットワークインフラ構築事業の領域において、「NC5000シリーズ」を中心に展開する。この製品は、NGNの標準アーキテクチャにおいてトランスポート層に位置づけられる、トランスポート制御基盤ソフトウェア製品だ。サービスプラットフォームのネットワーク制御基盤ソフトウェア「NC9000シリーズ」と連携することで、ユーザーが利用するサービスごとに帯域の確保や優先制御を行うためのポリシーを設定し、ネットワーク機器を動的に制御するQoSを実施するほか、ユーザーの端末がNGNへ接続した際、IDやサービスクラスなどの登録情報に基づくアクセス認証で、不正接続を防止する機能を搭載する。
また、コアルータ「Juniper-Tルータ」、エッジルータ「IP8800/R」、メディアゲートウェイ「CX8000」、無線アクセス「3G Base Station」などの豊富な製品群をキャリア向けに提供し、大規模次世代ネットワークインフラやサービスプラットフォームの構築を支援する。
サービスプラットフォーム構築事業においてNECは、IMS(IPマルチメディアサブシステム)とSDP(サービスデリバリプラットフォーム)で構成されるサービスプラットフォーム領域において、IMS基盤でセッション制御、呼制御、他網接続を行う「NC9000シリーズ」を、また、SDP基盤でコールコントロール、プレゼンス、メッセージ配信などを行う「NC7000シリーズ」を提供している。ここでは、SIPサービスソフトウェアの提供をはじめ、ハイビジョン映像配信サービス、固定とモバイルの融合サービスであるFMC(フィックスドモバイルコンバージェンス)の基盤構築に取り組んでいく。
一方のサービスプロバイダ事業としては、NECグループのNECビッグローブが中心となる。NECビッグローブは、ISP事業、ブロードバンドメディア事業、プラットフォームサービス事業をBtoCのみならず、BtoBtoCでも展開している。
動画ポータルサイト「BIGLOBEストリーム」では、コンシューマーに動画配信サービスを提供しているが、インターネットにはデータ転送における品質保証の確保に課題がある。そこで同社は、NTTのトライアルに参加し、「BIGLOBEストリーム」からNGNを経由して個人のPCに高画質映像を配信する実験を行っている。これは、NGNの特徴であるQoSを検証し、将来的なサービスの開発に生かすためだ。こうしたことにより同社は、広帯域、高品質、高セキュリティといったNGNがもたらすメリットを最大限に活用し、帯域コントロールやアクセスコントロールを可能にする新たな基盤を構築していく。
サービス利用者向けソリューション事業においては、企業や社会に対してサービスプラットフォームを活用したサービスおよびアプリケーションを提供する。個人向けにはNGNを活用できる携帯やPC、ホームネットワーク関連の端末やサービス事業を展開していく。
急激な変化はないものの将来に期待
NECは、グループ全社をあげて、これらの4つの側面からNGN構築へのアプローチを続けている。NEC マーケティング本部 グループマネージャーの逸見直也氏は、次のように語る。
「2007年になって、NTTやKDDIにインフラのミドルウェアや交換機を提供する事業を開始した。NGNは、キャリアが首都圏の電話交換機を置き換えることからスタートするので、初期段階から各企業に急激な変化が起こることはない。しかし、確実に進展するNGNにより、セキュアで高速なネットワークが実現すれば、自ずとサービスは充実するだろう。NECとしても、複数のサービスを連携させ、企業・社会・個人に付加価値を生み出す仕組み作りを提供していきたい」