また、地図を共有するにあたっては、「未知なる活動」に変更はつきものであると肝に命じ、変更を恐れないことも大切だ。私たちが常に配慮すべきは、計画の変更なのではなく、目的地そのものなのだ。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの途中で、目的地を変更する場合のリスクと、その影響の度合いを誰よりも認識していなければならない。プロジェクトであっても、地上での移動であっても、一番怖いのは、目的地そのものを見失うことなのではないだろうか。だからこそ、常に全体像を把握し、方向を確認しながら、必要に応じて軌道修正をしていく必要がある。
また、企業活動や事業活動として貴重な経験を生かすためには、常に学び続ける必要がある。それぞれの経験から学び、企業として継承すべきは、生み出した「結果」そのものではない。その結果を生み出した様々な「思考や活動プロセスや情報の意味(繋がり)」こそが重要なのだ。
この連載で繰り返し紹介してきた「MindManager」は、企業や組織にとっての「知」や「経験」を継承するために使える戦略的ツールであり、今後の企業戦略を思考するにあたってのインフラとなりえるツールなのである。
プロジェクトを目的地までしっかりとナビゲート
A君は、プロジェクトが進むに従い、様々な変更や不測の事態が生じてきたことに徐々に焦りを感じ始めていた。計画段階では、まだ気持にゆとりがあったものの、徐々に視点が局所的になりつつあるようだ。
緊急事態に追われ、全体像や方向性を見失いつつあるA君は、おなじみの先輩に相談することにした。
A君:あ! いたいた! 先輩〜助けてくださいよぉ〜。とほほ……。 先輩:よぉ、A君。どうしたんだい? そんなに情けない声を出して。プロジェクトで何か問題でも発生したのかい? A君:実は最近、当初計画していた通りにならないことがやたらと重なってしまって、ドタバタで対応に追われているうちに、何だか状況がよくわからなくなってしまったんですよ。 先輩:プロジェクトは、なかなか最初に計画した通りにはならないことばかりだからなあ。ところで、MindManagerで描いた、プロジェクトの活動マップはどうしたんだい? A君:ああ。あれは計画した時にはとても助かったんですが、実は実行時にはあまり使っていないんです。 先輩:そうか。それは残念だ。でも、そこに今の状況の原因があるんじゃないかな。 A君:え? それはどういう意味ですか? 先輩:君は、旅行を計画する時、旅行先の地図を見るよね。もし現地で道に迷った時は何を見る? そして何をする? 思い出してごらんよ。 A君:えーと……。きっと、もう一度地図を見て、今いる場所と目的地を確認すると思います。 先輩:君が、プロジェクトの計画時に描いた活動マップにも、その場所や目的地を書いていたはずだよね。 A君:そうか! そんな時こそマップを見るべきなんですね。 先輩:そういうことさ。君は今、道に迷って自分がどこにいて、どこに向かっているのかを見失い、冷静さを欠いてしまっているんだ。そんな時は、もう一度落ち着いて地図を広げてみればいいんだよ。その上で、MindManagerで描いた活動マップをチームで共有すれば、プロジェクトの実行管理や変更管理は、もっとラクになるはずだよ。 A君:わかりました! もう一度原点に立ち返ってマップと向き合ってみます! |
プロジェクトマネジメントにとって、最も大切なのは、全体像(地図)を常に把握し、現状を正しく認識することだ。プロジェクトマネージャーにとっては、プロジェクトの進行とともに近視眼的になりがちな視点を、意識して大局的な視点へと戻すことができるかどうかが腕の見せどころだ。
しかし、これは口で言うのは簡単だが、実際にやってみると極めて困難を伴うことでもある。
だからこそ、いつでもプロジェクト全体を無理なく把握できるように「地図」として「見える化」しておく必要があるのだ。
MindManagerには、プロジェクトの計画時はもちろん、実行時にも役立つ様々な機能が搭載されている。ここからは、プロジェクトの実行、管理の場面で特に役立つ便利な機能を紹介していこう。手元にMindManagerがない読者は、ぜひ、こちらのフォーム(リンク先)から試用版の申し込みを行い、実際に操作を行いながら読み進めてほしい。