ITが企業におけるインフラとしての地位を確立した現在、その利活用を阻む大きな壁となっているのが、他ならぬ「情報」だ。企業内に散らばるWordファイル、PowerPointファイル、PDFファイルは、乱雑な机上の書類と同じように、探しにくく、見つけにくいものになってしまった。本来、共有されるべき知識が共有されていれば、従業員の生産性が上がるのではないか──
企業もこの事態を傍観しているだけではない。社内ポータルを設置し、階層型メニューから目的の情報に辿り着けるようにする。そんな試みがここ数年来、続けられてきた。しかし、果たして企業内検索、情報共有はこの姿で良いのだろうか。
ウチダスペクトラムが21日に開催した「ナレッジマネジメント革新フォーラム Vol.2 〜事例で知るKM2.0ショーケース〜」で、積水化学工業 コーポレート情報システムグループ部長の原和哉氏と、テックバイザージェイピー代表取締役の栗原潔氏が、エンタープライズサーチの可能性と価値をめぐり、対談した。
社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の情報共有研究会 副部会長も務める原氏は、JUASが2005年10月から2006年2月にかけて実施した「企業IT動向調査 2006」の調査結果を引用し、企業における情報共有の進展を示してみせた(PDF 105ページ)。
同調査では情報の種別を「業務系情報」「フロー系情報」「ストック系情報」「知識・ノウハウ」の4種に大別。「基幹系の情報はそこそこ共有できているという認識があるが、そうであっても、ストック系情報はまだまだ」(原氏)という状況で、情報共有研究会においても、エンタープライズサーチやナレッジマネジメントをキーワードに、情報共有が話題に上るという。栗原氏も「ユーザー企業の間では、情報共有は重要案件トップ5の1つ」と語る。
ではなぜ、ストック系情報や知識・ノウハウを共有するシステムの導入が進まないのだろうか。