日本のソフト会社が世界に存在感をアピール--第2回MIJSカンファレンス開催 - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2007-11-29 20:46

 まず長谷川氏はオーバーシーズ・オペレーション部会設立の背景として、日本と米国におけるソフトウェア構成比率やソフトウェア輸出入調査のデータを提示。

 「パッケージソフトの導入比率は、日本は17%であるのに対しアメリカは67%に達している(2005年、経済産業省調査)。またソフトウェアの輸出入調査によると、現実的にはアプリケーションは30対1程度に留まっている。圧倒的に輸入超過の状況にあり、日本の優秀なエンジニアがきめ細かく作り上げている日本のソフトウェアがこれほど海外ベンダーに押されているということに忸怩たる思いがある。これを何とか打開できないかという思いが当部会設立に結びついた」と述べ、具体的な活動として行っている海外調査について説明した。

 今回のオーバーシーズ・オペレーション部会の海外調査は、総務省の肝いりで進めているもの。同省は4月23日に「ICT国際競争力懇談会」のまとめを公表、これに基づき「情報通信ソフトウェアの国際競争力強化を目的に、総務省はMIJSと連携し、海外展開支援を後押しする」とのプレス発表を行い、この中で「ICT国際競争力強化の鍵を握るのはソフトウェアであるが、国際市場ではマイクロソフト、オラクル、SAPなど外国のソフトウェア会社が席巻している。ソフトウェア市場では言語の壁やブランド力の低さ、海外進出のノウハウ不足から世界市場でシェアを獲得するのは困難な状況」としてMIJSと連携して今回の調査を行ったという経緯がある。

総務省と連携して調査

 長谷川氏は「総務省さんからは今年と来年の2年間サポートいただけるという話を伺っている」として、現時点での海外調査の概要を説明。

 今回、海外調査の対象国としたのはアメリカ、イギリス、ドイツ、オランダの4カ国。経済規模やIT利用者の数、ソフトウェア関連市場の大きさ、進出日系企業の数などを勘案してこの4カ国に決定したという。また調査方法としては日本総合研究所に依頼、各国100社を対象にして現地企業にはウェブアンケート、また現地の日系企業には電話インタビューおよび訪問インタビューを行っている。

 長谷川氏は「調査員は先週ヨーロッパに出向いたところで、今日お示しできるのは現地企業合計400社のウェブアンケートの結果」と断りながらも、「この4カ国での生産、販売、会計、人事、営業支援の5業務でのシステム形態は、パッケージが46%、自作が24%、ASP/SaaSが5%となっており、パッケージの割合が高いことが改めて分かった。また、アメリカとヨーロッパを比べると、パッケージ比率はほぼ同じだが、ASP/SaaSの導入はアメリカの方が若干進んでいる」など、ウェブアンケートの内容を図で示しながら、日本との違いを改めて報告した。

 今回の調査結果はまだ中間報告のレベルであり、最終結果が明らかになるのは2008年3月の予定。長谷川氏は最後に、今後の展開として「個人的には営業支援やCRMは世界に通用するのではないかと思っている。また海外進出で鍵となるのは言語対応とサポート体制。製品の相互連携の活動とも協力しあい、さらにこうした問題を詰めていきたい」と述べた。

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