キラーコンテンツは「映像配信」
NTTの運用する固定電話網は、1999年の再編成によって都道府県内の固定系ネットワークをNTT東西が運用することになった。一方、固定系の県間と国際ネットワークはNTTコミュニケーションズ、移動系ネットワークはNTTドコモの担当になった。
NGNに対する取り組みにおいても、NTT東西が固定系、NTTドコモが移動系のネットワークを構築していく。NTTコミュニケーションズは、サービスプラットフォーム上でISP、ポータルサイト、映像配信サービスなどのビジネスを展開していく。今後、同社が運営する「OCNシアター」や「オンデマンドTV」は、「4th MEDIA」を運営するぷららに統合し、NGNを通じて高品質な映像配信サービスを提供していく。
映像配信サービスは、社長の三浦氏も「キラーコンテンツになるだろう」と見ている。特に地上デジタル放送のIP再送信は、ユーザーのNGN移行への起爆剤になるとの見解から、NTTでは東京、大阪より順次サービスを開始したいとしている。
ただし、地上デジタル放送のIP再送信に関しては、放送事業者からの同意が必要だ。特に、地方局で区域外に映像を再送信すると、局あたりの視聴率低下を招き、広告収入の減少につながる可能性もあるため、「再送信ではローカル性を担保することが重要となるだろう」と、NTT 広報室 担当部長の大道英城氏話す。
映像がキラーコンテンツになるとはいえ、実はトライアル段階では「7キロヘルツの高音質電話がかなりの人気を博した」と社長の三浦氏。同氏は、「音声がなくなるわけではないので、こうした分野もNGN需要の喚起になるだろう」としている。
商用化、そして普及促進を
NTTがNGNの商用化開始時に提供するサービスは、高品質な光電話およびテレビ電話サービス、帯域が確保されたユニキャスト、マルチキャスト機能、そして県間のイーサネットサービスだ。同社はNGNを実現することで、インターネットが抱える品質およびセキュリティなどの課題を解決したい考えだ。
サービスの展開と同時に、NTTではパートナー企業とのビジネスモデル創造に向けた「次世代サービス共創フォーラム」(仮称)を2008年春に立ち上げる予定だ。三浦氏は「フォーラムをできるだけ早く立ち上げ、他のサービスプロバイダーに情報を提供していくとともに、インキュベーションの支援もしていきたい。資金面での出資も考えている。他のサービスプロバイダーとともに共創しながら、新サービスを開発していきたい」としている。