成功するM&A教えます--vol.4:失敗したメガマージャーから学ぶ - (page 2)

文:Geoffrey James
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2007-12-18 12:00

MCIとWorldCom

時期: 1998年9月
業種: 電気通信事業
取引規模: 370億ドル

公式の見解:「今回の合併のメリットは、MCIとWorldComの両社の株主にとって魅力的なものだ。それは強力な相乗効果と、過去10年間で最もパフォーマンスの良い通信株を所有できることである。この合併は成長を目指したものであり、株主には価値を、顧客には強化された製品とサービスを、従業員には新しい機会を、それぞれ提供するものである」--Bernard J. Ebbers、WorldComの社長兼CEO、1998年

合併後の経過:MCIの買収は1990年代後半のM&Aブームの頂点を飾る出来事であり、当時、通信企業各社は先を争うように買収によって市場占有率を獲得しようとしていた。これは特にWorldComにとって問題だった。通信業界の急落とともにWorldComの投資が金から鉛に変わってしまったからである。役員たちは自らの誤りを認める代わりに、回線のコストを過小報告し、粉飾決算で売上高を水増しすることによって問題を隠蔽した。その結果、何より特筆するべきは、元CEOのEbbers氏が詐欺罪で有罪判決を受け、25年の刑を言い渡されたことである。

この事例から学べる教訓:多くの企業を買うほどリスクは大きくなる。小さい企業を次々に飲み込むことによって事業を成長させることはできるが、それらの買収企業を筋道をつけて配置する戦略がないと、市場のあらゆる変化への対応力が弱くなり、買収した企業が圧迫を受けることになる。

CitiCorpとTravelers Group

時期: 1998年10月
業種: 金融サービス
取引規模: 1400億ドル

公式の見解:「CitiCorpとTravelers Groupは、顧客のために他に例を見ない資源を創出しようとしている。それは多様化されたグローバルな消費者への金融サービス企業、一流のグローバルバンク、第一級のグローバル資産管理企業、傑出したグローバル投資銀行兼トレーディング企業、広範囲にわたる保険業務である」--John S. Reed氏およびSanford I. Weill氏、Citigroupの共同会長兼共同CEO、1998年

合併後の経過:当初の構想は2人のCEOが対等な立場に立つというものだった。しかし、その直後に2人の間に争いが起こった。この2人は経営スタイルもビジネス界での来歴も180度違っていた。Weill氏はReed氏を追い出し、2つの企業をある程度の整合性がある企業にまとめ上げた。

この事例から学べる教訓: 船頭多くして船山に上る。 合併後も才能のある経営者を役員として引き続き登用したいというのは自然な発想だが、彼らがもはや企業を取り仕切るトップではないということを自覚しているかどうかを見極める必要がある。さもなければ、縄張り争いや絶え間のない役員同士の対立のお膳立てをするだけになってしまう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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