2008年はサービス化が新たなステージへ

徳田浩司(Fusion Reactor)

2008-01-01 08:00

 米国のITソリューションの世界において、今やサービス化が進んでいるのは自明だが、2008年もさらに進展を続けるものと思われる。そして、次のステップとして、モバイル、ユビキタスという方向に進むのではないかと予測する。

2007年はサービス時代の幕開けと浸透

 ちょうど1年前、私は2007年1月1日の展望で「2007年はサービス時代の幕開け」と予測したわけだが、実際にどうだったのだろうか。この1年を振り返ってみると、米国におけるさまざま現象を見るにつけ、その流れはますます顕著になってきていることがわかる。ハードウェアとソフトウェアの売り切りの世界から、ユーティリティモデルとなるようなビジネスモデルが、さまざまなところで導入されてきているのである。

SaaSの広がり

 まずは、オンデマンドのERP企業NetSuiteのIPOが特徴的な出来事として取り上げられる。ASP(Application Service Provider)やSaaS(Software as a Service)がエンタープライズ市場で使えるサービスとして認知され、オンデマンドCRMのSalesforce.comに続く上場企業が出てくるようになったということである。はるか昔は、パッケージソフトは細かなニーズに対応できないということで敬遠されたが、さまざまなニーズを吸収しながら進化を繰り返し、OracleやSAPなどのERPソフトが普及していった。

 さらに、ソフトウェアやハードウェアを単なる売り切りではなく、ユーティリティモデルとしてASPで提供することが試みられるようになった。近年、SOA技術の向上などにより、既存のシステムとリンクさせることが可能となり、ASPやSaaSをあたかも社内システムの一部として使うことが可能となってきた。大手企業よりも、情報システム部門が手薄な中小企業にて積極的に導入が進んだことが大きい。また、機能が画一的になりがちなASPも、たとえばSalesforce.comがApp Exchangeパートナーを積極的に募り、個別のニーズに合わせてさまざまな機能を追加できるようになったことで、利便性がはるかに高まり、普及が進んだのである。

シンクライアントの普及

 また、社内システムにおいても、Citrix SystemsをはじめとするITベンダーの推進するシンクライアントソリューションが普及しはじめている。実際に、私がコンサルティングを行っているベンチャー企業でも導入しており、米国ではごく当たり前に中小企業でもシンクライアントが利用されている。SOX法などのコンプライアンスの要請のみならず、サーバの高速化、低価格化、それにネットワークの高速化により、サーバ側に処理を集中させることが可能となったわけである。

 また、米国では、雇用形態が多様化しており、フルタイムのみならず、パートタイム雇用やコンサルタントのような契約社員が増えている。車社会でもあることから、重たいPCを持ち運ぶことが苦痛ではなく、自宅や移動途中など、オフィス以外でPCをインターネットに接続して仕事をするケースが少なくない。こうした背景から、いつでもどこでも企業のデータベースやシステムにアクセスできるよう、シンクライアントやWebサービスのニーズがますます高まっている。

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