2008年、エンタープライズがWeb2.0を飲み込む
3つの予測の結果からエンタープライズ2.0の世界の構図が明らかになってきた。これまで「Googleやブログ、SNSベンダーといったWeb2.0企業がエンタープライズに攻め込む」というトーンで語られることが多かったが、2007年に起きたことはそうではなかった。
戦いの主役はWeb2.0企業ではなく、エンタープライズ企業であった。エンタープライズ企業がWeb2.0の技術やコンセプトを飲み込み、次世代の企業内情報システム=エンタープライズ2.0を展開しているのである。
これは、広告業界であるウェブの世界と、IT業界であるエンタープライズの世界が決定的に異なるということを示唆している。Google Appsはエンタープライズから見ると圧倒的な低価格のSaaSサービスのように見える。しかし、Googleにとってエンタープライズ事業は売上1%に満たない「副業」に過ぎない。
彼らの本業は広告代理店である。世界最大の広告代理店として開発したサービスとインフラを少しエンタープライズに開放してみたに過ぎない。Googleはエンタープライズを飲み込むつもりもないし、そもそも戦うつもりもない。
これまでの歴史を振り返れば、エンタープライズは幾度となく技術革新の波をうまく飲み込み進化してきたことが分かる。メインフレームからPCへのダウンサイジングも、インターネット革命も、エンタープライズの一部として取り込んできた。
そしてどのような技術革新があっても、業界のメインプレーヤーは依然として、IBMに代表されるエンタープライズ企業なのである。今回もエンタープライズは、うまくWeb2.0の技術やコンセプトを飲み込み、進化させることで真のエンタープライズ2.0を作り上げるに違いない。