そこで同社では、ワインをDB化。たとえば「1987年から1992年のフランスのワインを売りたい」として、DBの中から条件に合ったワインを検索、その結果をPDFファイルのカタログとして販売店に営業することができるようになっている。このPDFファイルのカタログを生成するのに、biz-Streamが活用されているのである。
このカタログは、消費者の嗜好や過去の購買実績に応じて個別のワインリストとして作成することもできる。同社ではbiz-Streamを活用して「注文書をPDFファイルにして生成、受発注の仕組みにも使っている。また今では卸会社のやり取りでもbiz-Streamで生成される帳票を使っている」(海藤氏)のだという。
時刻表をカスタマイズ
biz-Streamのオンデマンド、リアルタイムな帳票生成はウェブとの親和性が高く、実際に活用されている。全日本空輸(ANA)の事例だ。
ANAのウェブサイト「ANA SKY WEB」では、各航空路線の時刻表情報を掲載しているが、その時刻表カスタムダウンロードサービスにbiz-Streamが活用されている。
当初同サイトでは、時刻表情報を全路線分を掲載したPDFファイルを用意していたが、これでは容量が大きすぎるし、全路線の中から必要な路線を探すのに一手間かかってしまう。そこで、エンドユーザーが必要としている路線だけの時刻表をリアルタイムにPDFファイルを生成するシステムにしている。興味深いのは、生成されるPDFファイルには、路線の時刻のほかに、運賃表、目的地の宿泊ホテルなどの広告も入れることができるようになっているのである。
オンデマンドに帳票に出力
ウェブとの高い親和性という点では、損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険(損保ジャパンDIY生命)でのbiz-Streamの導入事例もユニークだ。
損保ジャパンDIY生命は、通信販売をメインの販売チャネルとしており、ウェブサイトは大きな存在だ。同社ではウェブ上で、ライフプランにあった必要な保障額をシミュレーションできるツール「DIY組み立てキット」を展開している。エンドユーザーは、年齢などの簡単な情報を入力するだけで、現在の自分に必要な保障額と保険金を知ることができるが、このシミュレーション結果の計算根拠をPDFファイルでリアルタイムにbiz-Streamが生成しているのである。
ANAと損保ジャパンDIY生命の事例を見て分かるように、biz-Streamがウェブとの高い親和性を持つのは、biz-Streamがウェブアプリと連携して動作するJava対応の帳票生成ツールだからだ。biz-Streamは、ニーズに応じた出力を実現するために、生成する帳票のレイアウト情報をXMLファイルで別設定している。これによって、レイアウトの追加・修正に柔軟に対応できると青柳氏は説明している。
これらのbiz-Streamの導入事例を見れば、今帳票がどのように活用されているかが分かるだろう。帳票といえば、紙に大量に印刷されるだけのものというイメージを想像しがちだが、実際には、帳票は紙だけにとどまっているわけではない。むしろ、その領域は拡大しているといってもいいだろう。拡大する帳票の中でも、biz-Streamの場合、必要な情報だけをリアルタイムに、つまりオンデマンドに帳票に出力することから、“帳票 2.0”と呼べるものになるのかもしれない。