進化するテレビ会議(1)--ホウレンソウと遠隔会議システムの深い関係 - (page 2)

橋本啓介(CNAレポート・ジャパン)

2008-02-07 12:00

 また別の視点から考えてみると、「遠隔会議システムをどういった会議で使えば良いか」という企業ユーザーの声も多々聞かれる。それは仕事をひとつのプロセスとして考えることから整理するとわかりやすいだろう。

 その視点から考えると、そのプロセスの流れの中には、仕事を実行していくうえでの“節目”がある。節目とは仕事上の要であり、その重要な節目でのホウレンソウは、遠隔会議システムを使わずに、実際に会う形を取り、それ以外でのところでは、遠隔会議システムを使う。そうすると仕事のプロセスの中に効率よく遠隔会議システムを組み込むことができるのである。

意識を組織的に広げておく

 遠隔会議システムは、ボトムアップの導入よりも、トップダウンの方が導入後の利用促進が進むと言われることがある。トップの使いこなそうという意志が利用に大きく影響しているということである。

 そしてトップ直轄の社内プロモーターも必要だ。そのトップの意志を組織の末端まで伝え使いこなすための体制を作るためだ。社内プロモーターは、トップの意志を担い、導入時から勉強会、1次サポート、利用促進検討などを中心になって行い、組織的なモチベーションを喚起する重要な役割を持つ。また必要に応じて評価制度と連動させることも考えられる。

 従って、単にシステムだけを導入して、あとは社員に任せるというのでは利用促進は難しい。こういった体制作りと日々使うという意識を組織的に広げておくというのも、遠隔会議システムを企業で使いこなすために重要な鍵になるといえる。これは実は洋の東西を問わずいえるようだ。

 遠隔会議システムは、技術的に成熟しつつあり、製品は洗練されてきた。企業にとって十分検討するに価する解となってきた。しかし、企業の出張を全て置き換えるものではない。使いこなせるかどうかは、遠隔会議システムの企業での役割を理解したうえで、移動による機会損失やその最小化をどう考えるか、そして、使いこなそうという意識が組織的に働いているかどうかが分かれ目になっていると言える。

 次回では、製品やシステムの観点から、企業にとって現実解になってきた遠隔会議システムがどのように進化してきたか、技術的な面や市場の動向もおさえながら、まとめる。


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