全社レベルのPDCAサイクルを実現
こうした背景を受けマイクロソフトは、2007年12月1日に、スコアカード、ダッシュボード、管理レポート作成、分析、計画、予算作成、予測、連結など、パフォーマンス管理に必要なあらゆる機能が搭載された統合パフォーマンス管理アプリケーション「Microsoft Office PerformancePoint Server 2007」の提供を開始した。
Office PerformancePoint Server 2007は、「プランニング」「モニタリング」「分析/レポーティング」の3つの機能で構成される統合パフォーマンス管理アプリケーション。経営層から、財務、総務、マーケティング、営業、人事など、あらゆる部門の担当者まで、全社的なPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを実現し、迅速な意思決定を可能にする。
米野氏は、「Office PerformancePoint Server 2007は、発売後間もないので導入実績はそれほど多くない。しかし企業からの問い合わせは多く、高い関心を示してもらっている」と話す。同氏が話すとおり、すでに、三越、野村證券、ニコン、福井県済生会病院、日立システムサービスがOffice PerformancePoint Serverの採用を表明している。
「あるユーザーは“見える化”に興味を持っており、そのプロジェクトの一環としてOffice PerformancePoint Serverの採用を決定した。その前段階としてポータルを構築し、ポータルに情報を蓄積することで、その上にスコアカードやプランニングの仕組みを構築しようとしている」と米野氏。
最大のポイントは、経営者と現場の担当者が共通の認識を持てること。たとえば、経営者が赤信号だと思っていても、現場が青信号だと思っていると効果的なパフォーマンス管理ソリューションは実現できない。企業全体として、同じ認識が持てる指標(KPI)を共有できることが重要になる。
また、これまで分断されていた予算と実績をモニタリングするプロセスも重要。Office PerformancePoint Serverでは、スコアカードとダッシュボードを通じて、個人はもちろん、企業全体のパフォーマンスを効果的に管理することが可能になる。
投資に見合った価値を提供
BIソリューションにおけるマイクロソフトの強みは、同社がデスクトップ環境向けのソリューションを提供していることだ。日常業務で利用しているツールの中にシームレスにBI機能を組み込むことができることが最大の強みとなっている。
「現場の担当者は、BIツールを使った分析が本業ではなく、業務の一部としてBIツールを使った分析を行っている。そのため特別のBIツールを使うのではなく、日常的に業務で利用しているツールをそのまま分析業務にも利用したいと思っている」(米野氏)
特に日本の企業では、さまざまなビジネスシーンで「Microsoft Excel」を非常に効果的に利用しているので、Office製品群におけるBIインターフェースをより強化していくことがマイクロソフトにとって重要な戦略のひとつになる。
米野氏は、「ExcelやSharePoint ServerなどのBI機能をさらに強化、拡張することで、デスクトップ環境に対する顧客の投資に見合った最大限の価値を提供することを目指している」と話す。
「情報インフラの中核としてBIソリューションを活用してもらう。それを加速することを目的に、今後も必要な部品を提供していく。簡単なことではないが、ユーザーを混乱させることなく、ユーザーが本当に必要な機能を提供する。一歩先を見据えたBIソリューションを提供していきたい」(米野氏)