MSがSaaSビジネスを支援--「SaaSが普及しすぎて困ることはない」

藤本京子(編集部) 2008年03月13日 17時55分

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 マイクロソフトは3月13日、パートナー企業と共同でSaaS(Software as a Service)ビジネスに参入する企業を支援する「マイクロソフトSaaSインキュベーションセンタープログラム」を開始すると発表した。

 発表時点で同プログラムに参加するパートナー企業は、KDDI、富士通、GMOホスティング&セキュリティ、NTTPCコミュニケーションズの4社。マイクロソフトはパートナー企業に対し、SaaS型ビジネスへの移行を支援するために必要なトレーニングと、共有型Windows Server環境を実現するソリューション「Microsoft Solution for Windows Based Hosting」を提供する。

 トレーニングを受けたパートナー企業は、各社独自のサービスを生かしつつ、SaaS参入を目指すISVをサポートする。今回パートナーとなっている企業4社は、すでに自社でさまざまなホスティングサービスを行っている企業ばかりだが、今回のプログラムを通じて新たなサービスの展開を目指す。KDDIは同日、このプログラムを活用してSaaS型サービスを提供するアプリケーションパートナーが決定したと発表し、「6社のISVと共に今秋以降に順次サービスを開始する」(KDDI ソリューション事業統括本部 戦略企画部 新戦略グループリーダー 担当部長 大貫祐嗣氏)としている。また、NTTPCコミュニケーションズも「サポートやコールセンターまでこちらで用意する。夏をめどに新サービスを提供したい」(NTTPCコミュニケーションズ 取締役 オンデマンド事業部長 サービスサポート本部長 細川雅由氏)としている。

山賀氏 マイクロソフト 業務執行役員 通信・メディアインダストリー統括本部長の山賀裕二氏

 すでにマイクロソフトは、2006年11月より欧州にて、2007年4月より北米にて同様のプログラムを開始しており、合計16社のパートナー企業がISVのサポートにあたっている。マイクロソフト 業務執行役員 通信・メディアインダストリー統括本部長の山賀裕二氏は、「アジア太平洋地域にて同プログラムが開始されるのは日本が初めて」としている。

 実際にISVを支援するのはパートナー各社の役目となるため、マイクロソフトがこのプログラムで直接収益を上げることにはならない。しかし、パートナーの支援によりSaaSに参入するISVが増えれば、「マイクロソフトのホスティングソリューションを利用することになるため、ユーザーあたりの利用料が収益につながる」と、山賀氏は説明する。また、SaaSの利用が広がれば、「アクセス手段としてWindows Mobile端末を利用するユーザーも出てくるだろう。その場合は、Windows Mobileの売上が上がることになる」と、山賀氏はマイクロソフトにとってSaaSを普及させることのメリットを語った。

 マイクロソフトでは、「Software plus Services」というコンセプトの下、これまでのように自社サーバ上でソフトウェアを利用するモデルと、導入コストの低いSaaSを同時に推進している。とはいえ、同社のこれまでのライセンスモデルを考えると、SaaSでソフトの利用を促進した上で、自社サーバ型の導入を最終目標としているようにも見える。このように、SaaSの普及を手放しで歓迎しているようには思えないマイクロソフトが、「SaaS市場を活性化させたい」(山賀氏)とまで言うのはなぜなのか。

 それは、「SaaSによってこれまでITを全く活用しきれていなかった中小企業へのアプローチが可能となるためだ」と山賀氏。同氏は「SaaSが広がりすぎて困ることなど何もない。むしろITを全く使っていなかった企業に使ってもらうことで市場は大きくなる。もちろんマイクロソフトにとってライセンスビジネスは大きな収益源だが、SaaS市場が広がり月額料金が取れるようになれば、新たな収益源が生まれる」と説明する。

 また、SaaSが普及しても、「基幹業務などビジネス戦略に直接結びつくようなITは、かなりのカスタマイズが必要となり、カスタマイズに制限があるSaaSでは対応しきれない場合もある。戦略に直接結びつくようなITまでがSaaSに移行することなない」と山賀氏。逆に、「グループウェアなど、アプリケーションごとの差があまりないようなソフトはSaaSへの移行が今後も進むだろう」述べた。

Partners マイクロソフトの山賀氏を中心に手を取り合うパートナー企業の代表者たち
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