日本と世界の違い
ここで日本国内におけるLPICの位置付けに目を向けてみよう。2008年1月末時点でのデータによれば、累計受験者数が約8万9000人、累計認定者数が約2万9600人であり、全世界の半数以上を占めている。このことから日本における関心の高さが見て取れるが、日本の市場と世界の市場ではLPICに対する認識はどのように違うのだろうか。LPI-Japan理事長の成井弦氏に日本独自の事情を補足してもらいながら、Lacey氏の見解を尋ねた。
同氏によれば、国によって認定に対する評価は異なるものの、基本的にはブランドを特に重視する傾向にあるということだ。また各国の団体が興味を示す点としては、コミュニティーを主体としたLPIの運営方針が挙げられるという。こういった傾向は日本でも同じだが、LPI-Japanではそれに加えて「試験を通じて技術者のレベルアップを図っていく」という立場を取っているとのことで、“ステータスとしての認定”のさらに先を見ていると言えそうだ。
とはいえ、世界的にも認定試験に対する評価は急激に高まってきているとLacey氏は指摘している。
「さまざまな理由がありますが、ひとつには業界において中立な立場での基準が重視されるようになってきたということでしょう。また、グローバルで通用する評価が価値を持つようになったこともあると思います。LPIが目指すのは特定の地域や会社に寄らない、取得者の一生のキャリアとして通用する認定なので、そのことが特に多くの企業や技術者に評価されているのだと考えています」
同氏は、グローバルな市場に向き合う上でのLPI本部の役割として「各地域のベストプラクティスを吸い上げ、それをグローバルなものにすること」を挙げている。
「われわれが行うべきことは、まず組織全体としてグローバルを築き上げることです。次にそれを地域に合わせてインプリメンテーションします。そして積極的にフィードバックを受け入れ、グローバルに反映させていきます」
最後にLacey氏は、日本の技術者に向けて次のようなメッセージを送った。
「LPIとして重視しているのは認定そのものの価値感です。したがって、試験の設計にはユーザーのみなさんからのフィードバックが不可欠です。ぜひ日本の技術者の皆様にも、さまざまな形で積極的に参加して欲しいと思います。それがLPICの価値の向上にもつながり、結果として日本の技術レベルの向上にもつながっていくはずです」