経営者に事業継続の重要性を訴える--「もしも」に備えるBCM(2)

小林啓宣(シマンテック) 2008年04月14日 08時00分

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 前回は事業継続実現の課題として、予算を確保しにくい経営テーマであることを述べたが、今回はいかにして経営者に事業継続の重要性を訴えるべきかを考えてみたい。

事業継続における経営者層の役割

 課題を考察する上で、まず事業継続と経営者層の関係を確認してみよう。事業継続を構築・管理するにあたっては、経営者層の関与が重要なポイントだと言われている。このことは前回紹介した各ガイドラインにも明記されているが、具体的に経営者層の役割となるのは、事業継続を構築・管理する上で、予算承認、戦略の決定、策定した計画(BCP:Business Continuity Plan)の承認、計画発動時の判断、運営活動の評価、および改善プロセスの推進や次のフェーズへの承認などである。

経営者関与ポイント 事業継続管理サイクルにおける経営者層が関与すべきポイント

 一方で、経営者層の優先事項は、言うまでもなく企業の理念・方針のもとで、組織を運営し、収益を上げ、企業を成長、存続させることにある。この目標を達成する上で、経営の根幹となる資金調達や人材採用、製品およびサービスの開発と提供、調達、市場開拓、営業、保守サポートといったさまざまな活動が、事業継続がどのように関係し、影響を及ぼすかを明らかにしない限り、経営者層からの理解は得られない。つまり、事業継続に対する取り組みへの投資判断は下されないことになる。

事業継続が経営者に響かない理由

 では、今まではどのように事業継続活動が開始されてきたのか確認してみよう。プロジェクト開始段階では、地震や火災といった「もしも」の事態が発生した場合、被害がどれだけ甚大かを、プロジェクトオーナー(大抵の場合経営者層)に訴える形で、活動の開始承認を得ようとしてきた。また、「他社との差別化」に訴えかけ、取り組みが必要だと主張するケースもあった。中には事業継続活動の必要性を経営者が認識し、プロジェクト化するケースもあったが、多くの場合は、その活動が経営にどう関係しているかがわかりにくく、投資判断に至らないことが多かった。

 予期せぬ事態の被害は、ダウンタイムコストとして明示化することもある。こうしたダメージを定量化するプロセスは、通常事業継続管理では、計画策定段階でビジネスインパクト分析(BIA:Business Impact Analysis)を行う。このプロセスによって、停止時間による損失額や影響を、さまざまな視点から割り出している。また、大企業では事業継続とは別に、リスク管理の一環として損失額を算出している場合もあるが、実施しているのはごく一部の企業に限られている。つまり多くの場合は、具体的なダメージが明確化できない状況下で、事業継続実現に向けての活動を推進しなくてはならないのだ。

 通常の経営活動は、明確な達成目標に向けて行われており、売上げや利益といった数値で成果が測定可能だ。しかし、事業継続活動のような万が一の事態への「備え(保険)」に対する活動は、目標を設定しにくく、実施成果も測定しにくい。これでは、必要性がある程度認められても、経営課題として積極的に取り組みにくいのは明らかだ。

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