性能、可用性……見えにくい“非機能要求”を見える化する取り組み始まる

田中好伸(編集部) 2008年04月14日 20時08分

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 「レスポンスは3秒以内に来てほしい」「システムダウン時は3時間以内に復旧してほしい」――。ユーザー企業が実現したい業務フローや業務データとその処理方法などを定義する機能要求とは別に、情報システムの“強度”とも言える業務データ処理量や応答速度、同時処理件数といった性能のほか、ハードウェア障害や災害への対策といった障害耐性などの非機能要求を、システムインテグレーター(SI)とユーザー企業との間で明確にしようという取り組みが始まった。

 システム開発での非機能要求の“見える化”と確認方法を共同で検討することを目的に、NTTデータなど主要SIベンダー6社は4月14日、「システム基盤の発注者要求を見える化する非機能要求グレード検討会」(非機能要求グレード検討会)を発足させた。同会に参加したのはNTTデータのほか、富士通、NEC、日立製作所、三菱電機インフォメーションシステムズ、沖電気工業の計6社だ。

 性能や可用性、拡張性、セキュリティなど非機能要求の多くは、建築物で言うところの“基礎工事部分”にあたる。非機能要求の多くはシステム基盤に反映されることから、要求が確定してしまった後に、開発途中での大きな変更は難しくなってしまいがちだ。

 また不十分な認識に基づいて開発を進めてしまった場合、システムが提供する業務機能を想定外の方法で運用しなければならないといった問題も起きる可能性がある。運用後に問題が発覚した場合には、修正のためのコスト負担が増大、潜在的に危険な運用を継続せざるを得なくなるというリスクを抱えることにもなりかねない。

 発注者たるユーザー企業では、非機能要求について、専門性が高いという理由、あるいは業務でないことから非機能要求そのものに関心が低いという理由から、具体的な非機能要求を提示することが難しいという事情がある。一方の受注者たるSIベンダーも、特定手段の必要性や理由を説明できないなど非機能要求と、その実現手段に関する提案が難しいという事情も存在する。

 このようなギャップがあるために、具体化が進んでいないプロジェクト上流工程で非機能要求を扱うことは困難であり、発注者と受注者が共通の認識を持てない、合意できないといった状況を招きやすいのである。このような状況は、プロジェクトの下流工程でシステム基盤を変更するなどプロジェクト全体の成否に影響するというリスクにつながる。あるいは、カットオーバー後の運用の段階で、想定外あるいは極限状態での利用運用を強いるというリスクも抱えることになってしまう。

 非機能要求についてこうした問題意識を持つ6社が集まり検討会で、ユーザー企業とSIベンダーの双方で、非機能要求に関して共通の理解を持つための方法、その普及促進についての共同検討を行う。

 検討会では、参加各社が持つ事例や知見を持ち寄って、ユーザー企業とSIベンダーとで確認し合意することが望ましいシステム基盤に関連する非機能要求について「要求項目」と、要求項目の実現レベルの差を示す「グレード」の二つを“見える化”するとしている。非機能要求の要求項目ごとに選択肢を示し、メニュー化することで、見えにくかったシステム化実現要求の“見える化”を図り、受発注者の双方で共通認識を図るための水準を策定、両者が理解・確認しやすい成果物体系として開発する。

 検討会の活動期間は1年半。最初の半年で事例や知見の収集・まとめと表現方法を検討し、次の半年を経た2009年4月をめどに非機能要求グレードの標準案を策定、残りの半年で関連団体への働きかけなど普及促進に努めるとしている。

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