Web 2.0企業での活用に最適なブレードサーバ「HP ProLiant BL260c G5」

冨田秀継(編集部)

2008-04-24 14:46

 日本ヒューレット・パッカードは4月24日、ブレード型サーバの新製品「HP ProLiant BL260c Generation 5」を発表、5月中旬より出荷を開始する。8万円台から提供される中堅・中小規模企業向けの製品で、Web 2.0サービスを提供するスタートアップ企業やホスティング事業者などの活用に期待を寄せている。

 同社エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部の山中伸吾氏によれば、HP ProLiant BL260c Generation 5(以下、ProLiant BL260c G5)は、「ブレードは良いのだけど、やっぱりちょっと高いんだよな」という顧客からの声を受けての製品だという。

 ブログやSNSの運営といったWeb 2.0を意識したサービスを提供するスタートアップ企業や、コンテンツ配信、ホスティング事業など、低価格のサーバを大量に必要とする企業にとって有用な製品だと山中氏は強調する。

 その理由の1つが「新興IT企業はサーバが無ければビジネスにならない」(山中氏)からだ。スタートアップ企業にとってはサーバ導入コストが初期投資になるため、できるだけ安く提供しなければならないと山中氏。Intel Celeronプロセッサ搭載モデルで8万9250円という価格設定は、これが理由だ。

 初期導入コストという点において、最安値モデル16台の比較では、従来製品のBL460cが約650万円。一方、格安1Uサーバは約260万円で、両者の間には約390万円の開きがあったと山中氏。しかし、今回投入するBL260cは約280万円で導入が可能。価格差を20万円にまで縮めてきた。

従来型ブレードサーバとHP ProLiant BL260c Generation 5の最安値での価格比較 従来型ブレードサーバとHP ProLiant BL260c Generation 5の最安値での価格比較

 スタートアップ企業のWebサービスが拡充すれば、今度はデータセンターを借りることになるであろう。その際の要望としては、レンタルラック費用を抑えるため、高密度なサーバ実装が挙げられるという。

 この点での特徴は非常に明快だ。ブレード型サーバはラックが不要。山中氏はタワー型サーバ1台分のスペースに、16CPU 64コアを搭載可能だとする(クアッドコアXeon E5450採用時)。

 いま1つの特徴は消費電力にある。電気料金は月額で課金されてるため、ランニングコストの削減という点で非常に重要な要素だという。

 ProLiant BL260c G5はチップセットにIntel 5100を採用した。山中氏は、「これにより低消費電力のメモリ、DDR2(667MHz)を利用できるようになった」と語る。低消費電力のCPUを合わせて利用することで、待機電力を1台あたり76.5Wにまで抑えることが可能だという。

 つまり、Web 2.0企業やホスティング事業者が求めているのは、「低価格」「高密度実装」「低消費電力」であるという。「どんなに製品が優れていても、こうした顧客のビジネス要件を満たさなければ買ってもらえない」(山中氏)のだ。

HP ProLiant BL260c Generation 5を片手に説明する山中伸吾氏 HP ProLiant BL260c Generation 5を片手に説明する山中伸吾氏

 先の価格比較において山中氏が提示した「20万円」という差。これを高いとみるか安いとみるかは、導入コストだけでなく、メンテナンスコストの点からも判断できるだろう。

 ラック型ではネットワークや電源の冗長化のため、ケーブル本数が膨大なものになる。しかし、ブレード型サーバではケーブルは内部で接続されるほか、SANスイッチやネットワークスイッチも内部に取り込んでしまう。山中氏がHP Rack-Mounted to BladeSystem TCO Analysis Calculatorでケーブル削減によるコスト削減効果を試算したところ、5年間で約260万円の人件費削減に繋がる可能性があるという。

ケーブル削減によるコスト削減効果 ケーブル削減によるコスト削減効果

 日本HPのブレード型サーバは中堅・中小規模システムが好調であると、同社エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISS ビジネスプラニング部 宮本義敬氏は語る。事実、エンクロージャの出荷台数が昨年対比で282%の成長を遂げたという。

 「中小向けのエンクロージャ『C3000』は、ワールドワイドの20%弱が日本で売れている。C3000が日本で非常に受け入れられている」と宮本氏は自信を見せる。

 日本HPでは、仮想化の活用などに関心のある顧客領域を「ブレードバリュー領域」と規定、ブレードの機能・管理性に興味を持ちつつ、コストパフォーマンスや導入のしやすさも重視する顧客領域を「ブレードボリューム領域」と定めている。

 宮本氏はIDCの調査結果から、エントリーサーバ市場においてブレード型サーバの比率が低いという同領域の課題も示してみせる。しかし、これは課題というよりも自社・競合含め未開拓の領域であるとの認識だ。日本HPでは、市場拡大のためにはブレードボリューム領域の開拓がカギになるとみており、今後、エントリーサーバ市場におけるブレード型サーバの提供拡大に注力するという。

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