「環境にやさしい」を取り巻く変化--単なる流行から必須要素へ

文:Erica Ogg(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2008-05-22 14:09

 カリフォルニア州メンロパーク発--会社の環境重視のポリシーをファッションの新色発表よろしく宣伝するのが、ここ数年の慣例となっていた。しかし現在、実際に環境に配慮した製品を製造販売することが注目されている。その理由は、ビジネスに新しい黒(字)をもたらす潜在力である。

 シリコンバレーの当地で開催された「2008 Consumer Electronics Emerging Technologies Summit」で、ベンチャー投資家、ビジネスコンサルタント、起業家、世界中の一部の大手家電メーカーの関係者が、急速にコモディティ化が進んでいる業界での技術革新の新しい波について話し合った。基本的に次の用語に要約されるが、それは「エネルギー効率」である。

 それが重要なのはなぜか。製品への宣伝効果のためである。さらに、もし消費者が環境に配慮した製品を使用することに実際的な利益を見いだせるなら、それを買うだろう。そして、それはベンダーやメーカーにとっても潜在的な利益となるのである。

 「以前は(家電メーカーが)自分たちのイメージをよくするために言っていただけだった。しかし現在ではビジネスに必須の要素になっている」とIBM MicroelectronicsのゼネラルマネージャーであるGeorge Bailey氏は言う。

 それは家電分野に登場する目覚ましい新技術が、かつてのように爆発的な利益をもたらさなくなっているからである。好例が高解像度テレビである。

 「テレビメーカーは利益という点において困難に直面している」とBailey氏は言う。「彼らは『どうやったら価値を付加し、再び利益を確保できるのだろうか』と自問している。以前の目玉は大型のLCD画面だった。画面が大きければ多くの利益を上げることができた。しかし今ではそれが通用しないことをわれわれは知っている」(Bailey氏)

 大型テレビのメーカーがIBMのBailey氏の部門にやってくるときには、例外なく自社のテレビの消費電力を削減できるように、より環境に配慮した、よりエネルギー効率の優れたチップを探している。それが、商品陳列棚で自社の製品を他社製品と差別化する方法だからであるとBailey氏は言う。新しいテクノロジには、IBMが開発に取り組んでいるHigh-K Metal Gate(HKMG)チップがある。これは、電力の「漏れ」を少なくし、小型の機器をより長時間駆動できるチップである。

 しかし環境にやさしい製品は価格が高くなりがちであり、ある種の傾向を持つ消費者を遠ざけかねない。聴衆の中にいたサムスンの関係者によると、同社の見たところ消費者はまだ製品が「グリーン」だからという理由だけで積極的に製品を買おうとはしていないという。

 だから、消費者をいい気分にさせる想像上のメリットではなくて、実際のメリットを提供する必要があるのだと、クリーン技術のベンチャーキャピタル企業Westly Groupを経営しているSteve Westly氏は述べる。

 「消費者に本当に価値のある提案をしなければならない。『グリーンな』トラックが1ガロン(約3.8リットル)の燃料で16マイル(約26km)走行するなら、消費者はその価値を理解するだろう」とWestly氏は述べる。グリーンな製品には「付加的なメリットがなければならない」(Westly氏)

 エネルギー効率が、こうしたメーカーや投資家が期待するような数字によって消費者を引きつけられないとしても、企業はいずれにしろ製品のグリーン化を迫られることになるだろうと、Westly氏は指摘する。

 「(環境基準が)政府によって義務づけられた方法で測定されるようになるだろう。政府の規制や指令は厳しくなるばかりだ。米国だけでなく全世界で」(Westly氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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