世界水準の先進性と日本水準のこだわりを両立--ビジネスモバイル機として見る東芝のノートPC - (page 3)

林信行

2008-06-05 08:00

東芝が追求するビジネスモバイルの価値

--なるほど、こだわりはわかりました。ただ、そのようなこだわりはユーザーに伝わりにくくはないですか? 例えば、「製品寿命が長い」といった方がユーザーにわかりやすい気がします。

 我々は、「製品寿命は何年」といった形でのものづくりはしていません。もちろん製品寿命を少しでも長くするような設計はしています。ただ我々は、製品を長期間使い続けるということよりも、製品に何かトラブルが起きた時、できるだけ高いパフォーマンスを維持しながら稼働し続けることを重視したものづくりをしています。

 普通に使っていて製品を落としてしまうこともあるでしょうし、飲み物をこぼしてしまうこともあるでしょう。そうした事故が起きた時に大切なのは、ハードディスクのデータを守り抜いたり、液晶画面を守り抜くことです。

 我々の製品は、例えば動作中のPCのキーボード部分に100ccの水やコーラ、コーヒーなどを注いでも、しばらく電源ショートなどが起きない設計になっています。水をこぼしてもそのまま使い続けてくださいということではありませんが、その数分間の間に作成中のデータを保存したり大事なデータをバックアップしてください、という意味を込めてそう設計しています。製品の平均寿命を高めるというよりは、むしろどんな状況になっても、少しでもしぶとく生きながらえる、という感じでしょうか。

--なるほど。最後になりますが、御社のビジネス向けノートPCは、どこにポイントをおいて開発されているのでしょう。

 製品開発の大前提は「いつでも、どこでも、安心、安全」ということですが、それに加えてRXの開発では3つのポイントに重きをおきました。

 1つ目は「付加価値」です。薄さ、軽さ、長時間動作を備えることで高い機動力を発揮しつつ、その上で高い性能と確かな堅牢性も実現する。これらのポイントは相反しており、薄さを重視すると堅牢性を保てないといったように、どれかを立てるとどれかが立たないことが多いのが現状です。しかし我々は、どの点も妥協せず、すべての仕様を要求以上のレベルで達成することに力を注ぎました。

 2つ目は「セキュリティ」です。どんなにいいスペックの製品を提供しても、セキュリティ面で不安があれば、安心して使ってもらえません。今やセキュリティへの配慮は、クライアントPC作りにおいて最も重要な課題でしょう。

 OSから上のレベルでの表層のセキュリティであれば、さまざまなソリューションがでています。我々も「PC運用上手」という検疫ネットワークや、解析・通知、操作監視など8つの機能を持つパッケージソリューションを提供しています。また、最近ではMicrosoftがOSレベルでのセキュリティも高めています。

 その一方で、OSから下のレベルのセキュリティへの配慮は、必ずしも足りていない印象があります。我々はPCの起動に必須のファームウェアであるBIOSも自社開発し、汎用BIOSを採用する他社製品より一段高いレベルでのセキュリティを実現できています。

 最後の3つ目は「ビジネスを止めない」ということです。これにはいろいろな意味が含まれます。先ほど言ったように、トラブルの発症を抑えることもそうです。ダメージを受けても、高い品質で動作を維持するといった意味もあれば、バッテリー動作時間を長くして、電源のない場所でも長く使えることもそのひとつです。さらには、必要な時すぐに立ち上がり、すぐに使えることも大切です。

 これは内部の調査ですが、故障の発生率が低く抑えられていることも、こうした取り組みから来ているのだと思います。

--その3点に注力して開発することで、大前提の「いつでも、どこでも、安心、安全」につながるのですね。

 そうです。そして、その大前提を守ることが結果として、企業におけるホワイトカラーの生産性向上にもつながるのではないかと我々は信じています。

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