課題6:意図的なレコメンドができない
マーケティング担当者であれば、その時期の一押し商品や、広告戦略から意図的なレコメンドが必要になる場合がある。また、何かの理由で特定商品のレコメンドを止めることもあるかもしれない。このような意図的なレコメンドを望むケースに対し、パーソナライズド・レコメンダーではルールベース方式が併用利用できる機能を備えている。
以上、パーソナライズド・レコメンダーが各課題をいかに解決しているかを説明した。ここで解説した内容は、あくまでも基本的な協調フィルタリング×アイテムベースの課題とその解決方法の一例である。第2回でも説明したが、導入するECサイトによって効果的なレコメンド方式は異なり、それぞれの方式に一長一短がある。同じ方式を採用しているサービスでも、基本処理以外は各ベンダーのサービスによって異なるのだ。
例えば、アルベルトでは、ニーズインプット型レコメンドの「Bull's eye」や、あいまい検索の「ファジィスペックサーチ」、履歴を使った「おまかせ!ログレコメンダー」など、多くのレコメンド機能を提供しており、ブレインパッドでは、アクセス解析ツールの「RTmetrics」を利用したレコメンド機能「Rtoaster」を提供している。
ケイビーエムジェイのパーソナライズド・レコメンダーでも、通常のレコメンド機能に加え、ランキング機能と閲覧・購入履歴の表示機能を標準で備えているほか、ランディングページへアクセスする訪問者の流入元や流入キーワード、訪問回数、訪問時間を分析し、マッチングする商品や次の遷移ページをレコメンドする「LPOレコメンダー」を提供している。また、最新版のパーソナライズド・レコメンダーでは、ルールベースのみならずコンテンツフィルタリング方式も採用し、レコメンドの幅をより一層広げているほか、キーワードを入力することなくウィンドウショッピングのような感覚で検索ができる「121r(One to One Ranking System)」という機能も提供している。
このように、協調フィルタリングは最も利用されているレコメンド技術だが、各社が提供するサービスにはそれぞれ特徴があり、複数の技術を組み合わせたりレコメンド以外の検索関連サービスを取りそろえたりすることでオリジナリティを出しているのだ。
次回は、レコメンド技術の具体的な利用方法や導入効果について解説しようと思う。
筆者紹介
高島理貴(たかしま まさき)
ケイビーエムジェイ インターネットプロダクト&マーケティング事業部 プランニング&コンサルティング グループ アクセス解析チーム チームリーダー Newビジネス企画 担当。埼玉県生まれ。年間総計30億ページビュー以上のサイトを解析し、クライアントのサイトの成長をお手伝いするアクセス解析コンサルタント。