SaaSを「バズ」で終わらせないために
今回の記事では、***とは、みたいな書き方はしません。まずはビジネスモデルを理解し、それを世間でどんなバズワードで呼んでいるのかを示そうと思っています。バズワードの概要説明からベンダーの事例という流れがバズワードの理解の妨げになっていると思っているからです。ビジネスモデルの本質がわかれば、正直言うとバズワードなんてどうでもいいのです。
実は今ご紹介した所有から利用への流れのITサービスの事をさすのが”SaaS”(Software as a Service)です。Amazonでは、ソフトウェア機能や環境をサービスとして提供していますよね、それがSaaSです。ちなみにAmazonのS3にあたるストレージリソースをサービス提供するモデルを”RaaS”(Resource as a Service)と呼ぶ事もありますが、基本的にはSaaSで総称して構わないでしょう。ソフトウェアを機能として提供する為には、ハードウェアもサービスとして提供されなければ動きませんから。RaaSはそれをプロモーションしたいベンダーが無理やり生み出した言葉で、SaaSから独立させる意味は無いと個人的には思います。
ちなみに、SaaSを提供する側からすれば、サーバやストレージにもコストはもろにかかっています。サーバーも、ストレージも効率的に利用しなければ赤字になってしまいます。だからサーバーやストレージの空いている領域は効率的に使わなければいけない。当たり前ですよね。そこで使われる技術が“仮想化”です。さらに、アプリケーションの機能も共有しやすいような設計(例えば在庫管理する)にしなければ、開発者が毎回自分で開発しなければならなくなります。効率的にプリケーションを提供する為に、利用しやすい単位に分類し開発する。これをSOA(Servece-Oriented Architecture)と呼ぶのです。
バズワードの意味を考えるのではなく、ビジネスを成功させるために何をしなければいけないのか、その何かを解決するバズワードは何なのかという視点でバズワードを考えると、それはもう「バズ」と呼ぶべきでない、意味のある言葉になっているのではないでしょうか?
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。