Black Hat Las Vegas:1日目 - (page 2)

文:Nathan McFeters(Special to ZDNet) 翻訳校正:石橋啓一郎

2008-08-10 16:40

 私は次に、Dan Kaminsky氏の「DNS Goodness」の会場へ移動した。大変な見物だった。私が会場に行った頃には、Black Hat会議で最大の部屋が一杯で、立ち見席のみになっており、廊下に何フィートも人が溢れていた。強力なエアコンも、これだけの人が入った部屋の温度を維持することはできていなかった。Danの話は、これまであれだけ過剰宣伝され、攻撃の情報のリークがあった後でも、がっかりさせるものではなかった。私にとってのハイライトは、脆弱性を持つDNSサーバーにパッチを当てられていく状況を地球規模で可視化した部分だった。すべてが終わってから振り返ってみると、Danは賞賛に値することをやってのけた。私の意見では、彼は深刻なバグを発見し、これに対し彼にできる最善の手を尽くして、できるだけ多くの人を守ろうとした。

 私が見た次の発表は、Hovav Shacham氏による「Return-Oriented Programming: Exploits Without Code Injection」(Return指向プログラミング:コードインジェクション不要の攻撃)だ。この発表で示されたアイデアには、自分のシェルコードを送り込んでそこにジャンプさせる必要も、システムへのreturn-to-libc攻撃も必要もない。このテクニックでは、すでにプログラムの中に存在しているものを利用してシェルコードを作成する。これには、RET命令で終わるコードの断片をつなぎ合わせる。RET命令を使うことによって、攻撃者はスタックをコントロールして命令のシーケンスをつなげることができ、それがシェルコードなどになる。

 実行されたコードは、実行可能であるとマークされたメモリに保存されているため、DEPやW^Xなどの一般的な保護はバイパスされてしまう。残念ながら、依然として潜在的にはASLRは処理しなければならないのだが、これは非常に興味深い発表だったし、有効なテクニックである可能性がある。

 この「Return指向プログラミング」の発表が終わると、私は親しい友人のKevin Stadmeyer氏とその同僚のJacob Carlson氏のFLEX、AMF 3、BlazeDSに関する話を見に行った。この話は非常に興味深いもので、Black Hatで見られる多くの発表とは少し異なっていた。この話では、特定の脆弱性を扱うというよりは、FLEX、AMF 3、BlazeDSの評価にどう取り組めばいいかという話題を扱った。また、開発者が設計と開発の最中に念頭に置いておくべき潜在的なセキュリティ問題についての考え方を提示している。この考え方は非常に興味深く、質疑応答の数もかなり多かったことを考えると、出席した聴衆も非常に役に立つと考えたのだろうと思われる。

 最後の、そしてこの日の最大の楽しみはPwnie Awards賞の発表だった。ZDNetブログは今年2人のPwnie Awardの受賞者を出した。私(そしてRob Carter氏とBilly Rios氏)がbest client-side bug賞を受賞し、Ryan NaraineがKasperskyの代表としてbest song賞を受けた。私がこのショーに出席するのはこれが初めてだったが、大いに楽しんだ。審査員のMark Dowd氏、Alex Sortirof氏、Dave Aitel氏、Dino Dai Zovi氏、Halvar Flake氏は、Rob Carter氏、Billy Rios氏と私に対し、best client-side bug賞をくれたのだが、念のために言っておくと、Markが審査員の一人であったことから、私たちがこれをもらうのは始めから決まっていた可能性が強い。これまでに見つけた攻撃方法の数から言えば、本当はこの賞に相応しいのは彼の方だ。

 2日目については、後ほどまた報告する。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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