Vista導入が進まない理由
Vista導入を実施もしくは予定している企業は、PCの置き換えサイクルにあわせてOSも移行するケースが大半だとGray氏は言う。その企業のPC置き換えサイクルについて同氏は「デスクトップPCの場合だと毎年全体の約4分の1、ノートPCの場合だと毎年全体の約3分の1が置き換え対象となる」と述べており、この傾向から「Vistaへの完全な移行は4年ほどかかると考えてよい」としている。
Vistaの移行が進まないのは、置き換えサイクルを迎えていないPCがいまだ多いことも一因と考えられるが、Gray氏はほかにも理由を挙げる。それは「これまでにVistaに対するネガティブな報道が多かったためか、CIOがVistaにあまりいい印象を持っていないことがひとつ、そしてVistaを動かすために必要なハードウェアのスペックが非常に高いことも一因だ」(Gray氏)としている。
また、世界的にVista導入の障壁となっている要因としてGray氏は、「10%から40%の企業アプリケーションがVistaとの互換性がないことだ」と指摘する。こうしたことから、「企業の約半数が次期OSのWindows 7が登場するまで移行を据え置くことも視野に入れている」とGray氏は言う。
しかし、同時にGray氏は「互換性の問題は、Windows 7まで待ったからといって解決できるものではない」と警告する。それは、Windows 7はVistaがベースとなっているためだ。
Gray氏は、「互換性の問題を避けてWindows 7を待つよりは、今からこの課題に取り組んだ方が良い」と話す。Vistaを導入している企業は、言い換えればWindows 7の導入に関しても一歩リードできるためだ。またGray氏は、Windows 7のリリースを待つことが賢明な選択肢でないもう1つの理由として「いつリリースされるのかわからないOSを待つ必要はない」とも述べている。「Microsoftは、製品のリリース日を延期することに関しては定評がある。それに、Microsoftがリリース日を守ろうとして機能を削るといったことも我々は今までによく見てきた」
Gray氏は別にWindows 7のことを悪く言おうとしているのではない。今、Vistaに移行しない理由は何もないと主張しているのだ。そしてGray氏は、2009年にはVistaへの移行がいっそう進むと見ている。「PCの置き換えサイクルは常にやって来るし、XPもそろそろ古いOSとなりつつある。標準的なハードウェアのスペックも上がってきているため、Vistaへの移行はさらに進むだろう」(Gray氏)