なぜNet Incomeが必要か
考えてみればOther Incomeも収入には変わりありませんが、なぜNet Income以外にOperating IncomeやOther Incomeを算出する必要があるのでしょうか。
冒頭に、Financial Statementは、Top ManagementがShareholderから委託された資源を活用した結果を示すものだと説明しました。Shareholderは継続的な投資の判断のために、その企業が投資家の期待する事業でもうけを生み出しているのかを知る必要があります。例えば、製造業であるのにOther Incomeが大きいと、健全ではないと判断することもあります。健全な企業経営は、やはり本業でのIncomeが安定的に入るべきだからです。Net Incomeだけでは、もうけの内容がわからないのです。
しかし、実はこの考え方で米国と日本では若干違った考え方をしています。米国では、Operating IncomeとNet Incomeで評価しますが、日本ではOperating Incomeと、Operation Income ＋ Other Income − Other Expenseという数式から出る経常利益とを比較して評価します。先ほども述べたように、米国式会計基準には経常利益を記載しませんが、経常利益という指標を利用すれば、本業での利益であるOperating Incomeと、本業の利益に本業以外の利益をプラスした経常利益とを比較できますね。
Net Incomeでは、その他支払わなければいけない費用もひかれますので、純粋にもうけの内容だけを評価するのであれば経常利益が便利です。自分で比較するときは活用してみて下さい。
いずれにせよ、Operating Incomeに対してOther Incomeの比率が高い場合は要チェックです。単純に本業の売上が低いのか、投資収入に神風が吹いたのか、大きな不動産売買をしたのかなど、いろいろなことが推測できるので、Other Incomeと本業の売上との比率は、やはりチェックする必要があるのです。
Total Revenueの構造を絵でイメージできるように
最後に、再度念を押しておきます。数字を見るのも大切ですが、是非Total Revenueの構造を絵でイメージしてください。他の企業と比べる時に、違いがわかりやすくなります。
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永（Eric Matsunaga）
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科（修士）卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT＆Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。
