Notesを捨てたコクヨグループが目指す「IPスタイル」とは--企業のコラボレーション基盤を考える(10)

富永康信(ロビンソン) 2008年10月30日 17時29分

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 今回は、Notesから他の基盤に移行したコクヨグループの事例を紹介する。Notesマイグレーションにおいては、Notesを捨てるケースばかりでなく、Notes新バージョンへの更新で効果を上げた例や、他基盤から再びNotesへ回帰した例も少なからず存在するが、「Notesをやめる」ことを決断し、実行するにあたっても、相応の苦労や努力が必要であるということが、このケーススタディを見れば分かってもらえるだろう。もちろん、その苦労や努力は、しっかりした戦略に裏打ちされることで、大きな成果を生み出すのである。

 1905年(明治38年)に和帳の表紙製造からスタートしたコクヨは、ノートや文具などのステーショナリーをはじめとして、オフィス家具や什器のファニチャー、そして系列企業を中心とした人事・総務・経理等の業務をシェアードサービスするワークサポートの3要素を提供するトータルオフィスサプライヤーへと発展してきた。

 同社は、2004年に全事業の分社化によるグループ会社化を実施。ホールディング会社と各事業会社に再構成するとともに、10年以上利用してきたNotesの完全移行を決断した。

 ではなぜ、同グループはNotesの完全移行を目指さなければならなかったのだろうか。

「将来もNotesのままで良いのか」という疑問

 コクヨグループでは、ブランドメッセージである「ひらめき(創造性)・はかどり(効率性)・ここちよさ(快適性)」を、顧客のイノベーションをリードしながら自らも進化することで提供することを経営ビジョンとしている。

 分社化という組織変革への取り組みの中では、グループ社員自身の意識変革も必須であり、ITツールの連携とウェブ化によるワークスタイルの変革は避けられない条件となった。その中で優れたコラボレーション基盤とはいえ、将来にわたって「Notesの閉じた世界のままで良いのか」という疑問が生じたという。

 特に、グループコミュニケーションの面では、分社化による本社と子会社間、あるいは子会社間同士のコミュニケーションの分断が懸念され、また、子会社トップと社員間、さらにはグループ外関係者間におけるコミュニケーションを活性化させることが求められていた。

 そこで、同グループは「“IPスタイル”への進化」をスローガンにしたワークスタイルの変革に着手することを決めた。「IPスタイル」とは、ワークスタイルの変革にあたって、IP(インターネットプロトコル)で連携できるネットワークやITツールのすべてを利用しながら、「いつでも、どこでも、誰とでも、簡単かつ安全」にコミュニケーションや情報共有が実現できる基盤のあり方を指すのだという。

 グループ企業の人事・総務・経理およびITの各間接業務をアウトソーシングで提供するコクヨビジネスサービスが、このIPスタイルの推進役となった。同社は、2003~04年にかけてグループ内ネットワークや基幹システムを再構築。2005年にはセキュリティを強化し、IP電話や簡易テレビ会議システム等のコミュニケーション基盤を次々に整備していった。

 同社のITソリューション事業部でWeb化推進グループのグループリーダーを務める土山宏邦氏は、「今後選択すべきコラボレーション基盤はNotesではないという結論に達した。我々は、Notesへの不安や利用における限界を分析するところから移行を開始した」と語る。

土山宏邦氏 「ウェブポータル化するためにNotesを捨てる決断をした」と語るコクヨビジネスサービスの土山宏邦氏

最初からNotes移行を目的にはしていない

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