「仮想化の特性を考慮した運用管理が必要」--日立製作所:HITACHI Open Middleware World - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2008-12-02 20:48

 冒頭、森田氏は「世界のVMwareのお客様は1年前は2万社だったものが、この1年で12万社以上と急拡大している」と石井氏同様、仮想化ソフト、とりわけVMwareの市場が急伸していることを強調。また、仮想化によるITインフラの変革についても、当初は単体での使用が中心だったが、それがサーバ統合・集約のソリューションとして使われるようになり、現在ではデータセンターの自動化というように、大規模化、複雑化していると仮想化技術の変遷を紹介した。

 続いて、9月16日から米ラスベガスで開催されたイベント「VMworld 2008」の内容を報告するとともに、2009年に向けてバーチャル・インフラストラクチャからバーチャル・データセンターOSを目指すという大きな方針を明らかにした

 「フレキシブルなデータセンターを目指すというもので、vCompute、vStorage、vNetworkといったリソースをインプリメントし、データセンターのハードウェア全体を仮想化。またそのアプリケーションの互換性、拡張性を向上する」(同氏)

 また森田氏は「日本におけるVMwareを活用した仮想化技術の浸透を図るには、JP1に代表される、仮想化ソフトをサポートする運用管理ソフトとの連携が重要。JP1はジョブ管理、性能監視、バックアップ管理など次々とVMware対応を促進しており、今後もVMwareとJP1はよりよい仮想化環境を提供していきたい」と締めた。

2009年上期にはメジャーバージョンアップを予定

 ここで再び日立の石井氏が登壇。森田氏のスピーチを受けた形で、「VMwareとJP1を合わせて仮想環境の最適な運用管理を実現する」と述べるとともに、テーマをJP1の最新版であるV8.5で強化された仮想環境の運用管理へと移した。

 石井氏は「仮想化によりIT部門が直面しているさまざまな課題が解決できることは確かだが、一方で複数の仮想マシンでリソースを共有することで新たな課題も浮上している」として、具体的には(1)期待通りの性能が出ない(2)障害発生時の対応が難しい(3)バックアップによる負荷が高い――という課題を挙げ、それぞれを具体的に説明しながらJP1が課題解決に有効であることを強調した。

 つまり、仮想化は脚光を浴びており、IT部門の課題を解決できることは確かだが、そのためには運用管理が重要であり、今後は仮想化の特性を考慮した運用管理が必要というのが石井氏のスピーチのポイントだった。

 石井氏のスピーチはここで、JP1のもうひとつの特徴であるグリーンITへの取り組みに移り、データセンターからオフィスに至るまで幅広く省電力視点での運用を統制することが求められているとアピール。そこでは、省電力運用を実現する自動化と電源制御が重要であると述べた。

 JP1によってPCの電源管理を統制したところ、本社にPC100台、工場にPC50台という企業規模の評価モデルの場合、CO2排出量を51%削減できたことを報告している。

 最後に石井氏はJP1の今後としてロードマップを紹介。現在の仮想化対応、グリーンIT対応のV8.5に続き、2009年上期には次世代運用管理基盤としてメジャーバージョンアップを計画していることを明らかにした。

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