ダッシュボードとにらめっこしながら経営なんて本気ですか?

エリック松永 2008年12月22日 10時00分

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 年末になり自動車事故の辛いニュースが多くなってきましたね。人事ではありません。自分で自動車を運転していると、ふと気を他に取られた時に、ひやっとするような運転になった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。私は初めて高速道路で運転した時に、追い越して行く車等に気をとられ気がつけばとんでもないスピードが出ていたことがありました。皆さんも覚えがあるのではないでしょうか?

 ご存知の通り、自動車のダッシュボードにはスピードメータがついていて、我々は現在のスピードを知ることが出来ます。ドライバーとしては、法定速度を超えないようにスピードメータを常に確認し、速度を出しすぎていればブレーキを踏みスピードを制限します。逆にあまりに遅いと、渋滞の原因にもなりますのでアクセルを踏んでスピードをアップさせます。つまりスピードメータを判断材料とし、何らかの「アクション」をしている訳です。今回の原稿はこのことを常に念頭に置きながら読んでいただければと思います。


 昨今、ビジネスの状況をリアルタイムに可視化するツールとして経営ダッシュボードなるITツールが注目されています。一般的にはKPIと呼ばれる業績の達成度を定量的に判断できる基準をITを駆使して大量なデータを高速で分析し経営ダッシュボードで可視化することが出来れば、迅速な経営判断が可能という発想です。KPIについては様々なものが存在しています。例えばBSC(バランスストコアカード)は、財務・顧客満足・業務プロセス・成長といった複数の視点を定量化し、バランスよく評価・改善するKPIの考え方で有名な技法です。

 BSCはコンサルタントとして企業の経営を評価する場合には、有効な技法です。第三者として客観的に経営を評価できます。しかし、実際の経営の現場で、4つの視点を定量的にモニターし経営判断をしている経営者がどれくらいいるのでしょうか? 実は、ここが問題なのです。

 実際の経営は、定量的なものだけで判断できるわけがないし、どの視点に重点を置くべきかについても経営者によって違います。例えばソニーはBSCとにらめっこしながらゲーム事業、映画事業に参入していったのでしょうか?

 答えは「No」でしょう。BSCだけでは既存事業の評価は出来ても次のイノベーションは生まれません。また、経営者は独自の視点で経営を行っています。同じソニーであっても、井深、盛田、大賀といった偉大な経営者達はそれぞれ違った視点で経営を成功させてきたことは周知の事実でしょう。誤解をしていただきたくないのですが、BSCが不要というつもりはありません。経営者は独自のKPIを持って経営を行っているという点を認識していただきたいのです。

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