AMD、「ファブレスとなることでコア事業にリソースを集中できる」

藤本京子(編集部) 2009年01月30日 19時25分

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 2008年は、AMDにとって変化の1年だった。7月に米国本社のCEOがHector Ruiz氏からDirk Meyer氏へとバトンタッチされ、日本法人でも10月に吉沢俊介氏が新たな代表取締役社長となった。また、8月にはデジタルテレビ事業のBroadcomへの売却を、そして年が明けたつい先日の1月20日にはハンドヘルドチップ事業のQualcommへの売却を発表した。

 さらに10月には、半導体製造部門を切り離し、ファブレスビジネスへと移行することを発表している。AMDが事業の転換期を迎えていることは間違いない。

吉沢氏 日本AMD 代表取締役社長の吉沢俊介氏

 1月29日に事業方針説明会の壇上に立った日本AMD 代表取締役社長の吉沢俊介氏は、米国大統領に就任したばかりのBarack Obama氏が「Change」というキーワードを強調していたことに触れ、「AMDはこれまで、業界で大きな変化が起こる時にチャンスを得ていた。世界の経済状況は悪くても、これからの1年はAMDにとって『Change』を『Chance』に変えられる年になるだろう」と強気な姿勢を見せた。

 製造部門の切り離しにあたりAMDは、アラブ首長国連邦の投資企業Advanced Technology Investment Company(ATIC)と共に、ファウンドリ事業を行うThe Foundry Company(仮称)を設立すると発表している。

 新たなファウンドリ企業を立ち上げ、AMD本体はファブレスとなるわけだが、この新ビジネスへの移行について吉沢氏は、「リソースをコアコンピテンスに集中させることができるため、Intelのように潤沢なリソースを持つ企業とも十分戦える」と話す。また、「ファウンドリは寡占化が進んでおり、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)に対抗できる企業は少ないが、新しくファウンドリを作ることで競争を作り出したい。競争原理が働けば、技術が進歩してコストも下がり、業界の活性化につながる」とした。

 AMDは、2009年半ばに次世代のサーバプラットフォームとなる「Istanbul」を出荷する予定だ。これは、「クラウドコンピューティングやSaaS(Software as a Service)を意識したプラットフォーム」(日本AMD マーケティング&ビジネス開発本部 エンタープライズプロダクトマーケティング部 部長 山野洋幸氏)で、「コアが6コアとなるだけでなく、仮想化支援技術の拡張など、増えたコアをフルに使い切るためのテクノロジも用意している」としている。

 Istanbulでは、パワーマネジメント機能も強化される。AMDでは、負荷に応じてCPUのクロック数を制御する「PowerNow!」という技術を採用しているが、Istanbulでも同様の仕組みを使い、「特定のソフトウェアがどの程度のCPUパワーを使用しているのかといった情報を提供し、リソースを動的にコントロールする運用管理の仕組みを提供する」(山野氏)としている。

 吉沢氏は、AMDの存在意義について「AMDが開発しているx86プロセッサは、汎用プロセッサアーキテクチャとしては唯一のものとなるだろう。このx86プロセッサを開発しているのはAMDとIntelのみだ。一方、PCにおいてプロセッサと同様に重要なグラフィクスを開発しているのは、AMDとNVIDIAのみ。つまりAMDは、この2つの領域で開発技術を持つ唯一の企業なのだ」と述べ、これが同社の差別化につながるとした。

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