Web 2.0を用いて業務を改革し、不況を生き抜く - (page 3)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-02-09 08:00

5.オンラインの顧客コミュニティを積極的に活用することで顧客サービスのコストを下げる。今日では、すべての顧客はオンライン環境を有している。そう、すべての顧客だ。あなたの会社は本当に彼らを巻き込み、彼らをサポートし、会社が行っていることに対して興味を抱いている人々からなる豊かなコミュニティを作り出すことができているだろうか?おそらく、そういったことはできていないはずだ。自社製品に関する豊かなオンラインコミュニティを作り上げることができている大企業などほとんどなく、ごく最近になるまで顧客は自らでそういったものを作り出さなければならなかったのだ。私は数カ月前にオンライン顧客コミュニティ(関連英文記事)の実態を調査したが、状況はそれほど変わっていなかった。

 オンラインコミュニティに対して比較的小さな投資を行うだけで、CRMのコストを削減できるうえ、顧客満足度を向上させることができるという触れ込みが早い時期からなされていたものの、ほとんどの企業は動きが遅く、悠長に構えていると言ってもよいほどである。顧客に支持されるオンラインコミュニティを生み出し、育てていくには確かに一定量のスキルが必要であるものの、必要となった時にすぐに用意できないほど大袈裟なものではない。そして今日ではそういったニーズが非常に高いのである。多くの企業では、顧客サービス担当者と会計担当者の人員削減が急激に進んでいるため、今こそコミュニケーションやコラボレーション、共同作業が行えるような、まったく新しい、優れたチャネルを顧客に提供する時なのである。会社が、担当者の交代によって生み出される顧客とのトラブルを最低限に抑えたい、あるいは顧客サービスコストを全体的に抑えたい、さらには既存顧客を囲い込んでおきたいと考えているのであれば、2009年は活気あるオンライン顧客コミュニティの構築を検討するべきだろう。

6.新たなプラットフォームやテクニックを用いることで、アプリケーション開発や統合にかかる時間/支出を削減する。ここ数年間で、ウェブコミュニティはオンライン世界の規模と複雑さに対応するべく、ソフトウェアの作成と統合のための極めて革新的なモデルを生み出してきた。一方、ほとんどの大企業はこういったことに対して影の薄い存在となっている。アプリケーション開発には動的な言語が用いられるようになり、Ruby on RailsやPython/DjangoGrailsといった生産性を重視した新たなプラットフォームに移行している。また、リレーショナルデータベースは、CouchDBといったドキュメント指向のデータベースや、Hadoopといった分散コンピューティング/ストレージシステム等の新たなライバルに追撃されている。こういったものはすべて、大規模コンピューティングで必要なものであり、ほとんどの大企業が真面目に取り組んでいない、いや気付きさえしていない大きな難関に立ち向かうための成熟した、能力の高い、新しい取り組みでもあるのだ。

 この他にも、エンタープライズマッシュアップという現在進行中の話がある。これによって、軽量ツールによる統合と、合成によるアプリケーション開発が、しばしば業務の最前線にいるエンドユーザーたちによって可能になるのだ。このマッシュアッププロバイダーの一覧(英文記事)を見ていただくと、ほとんどのプロバイダーは強力なソリューションを提供している。では、こういったものによって、今までに解決できなかった問題を解決できるようになる以上のメリットがもたらされるのだろうか?大幅なコストダウンを可能にしたRailsの有名な事例を見ても判るように、ほとんどのものはアプリケーションの開発コストを劇的に下げることになるだろう。また、統合もソフトウェア開発コストのうちの大きな比率を占めていたため、その問題に応えるかたちでウェブのマッシュアップというアプローチが生み出され、大きな成功を収めているのだ。こういったアプローチを従来からあるソフトウェア開発プロセスの枠組みに組み込もうとした場合、そのメリットは輝きを失うものの、枠の外で考え、イノベーションの最先端に向かう意志があるのであれば、大きなメリットが得られるだろう。

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