財務会計と管理会計--工事進行基準はプロジェクト管理体制を見直す契機(前編)

木村忠昭(アドライト) 2009年02月13日 13時00分

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大きな意味をもたらす工事進行基準

 前回は、工事進行基準の概要と適用時期、そして適用する際のポイントをまとめた。「工事契約に関する会計基準」の適用開始は、大きな流れでの会計コンバージェンス、すなわち国際会計基準(国際財務報告基準=International Financial Reporting Standards:IFRSs)の調和化の枠組みであることは前回述べた通りである。しかし、会計コンバージェンスのいくつかの論点のうち、今回の工事進行基準は、単なる制度の変更という以上に大きな意味がある。

 というのも、工事進行基準適用のためには、見積もりの精度を向上させるためのプロジェクト管理体制の強化が不可欠であり、このことは、プロジェクト型での開発を進める企業にとって、まさに大きな経営課題と言えるからである。そこで今回は、工事進行基準の二つの側面、つまり「財務会計」と「管理会計」のそれぞれの側面にスポットをあて、その背景や特徴を紹介していきたい。

 財務会計とは、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を中心とした会計情報を、株主や債権者、当局などの企業外部の利害関係者に提供することを目的にした会計のことを指す。対する管理会計は、経営者や企業の経営幹部への情報を目的としたものだ。

自己流の原価計算では工事進行基準の適用が難しい

 まず、財務会計上の側面を見ていきたい。財務会計上の側面とは、金融商品取引法をはじめとする各種会計基準など、企業が経営を行ううえで遵守しなければならない側面を意味する。工事進行基準が原則適用となることが定められた「工事契約に関する会計基準」は2007年にすでに公表されており、2009年4月からいよいよ適用開始となることから、この会計基準を適用することは基本的にすべての企業にとって必須となる。

 工事進行基準は、以前から建設業における長期請負工事などで行われていた会計処理の方法だが、今回、ソフトウェア開発への適用が明記された。ソフトウェア業界では、いわゆる“ソフトウェア会計”と呼ばれる「研究開発費等に係る会計基準」が1998年に公表されており、大きくみると、ソフトウェア会計における受注制作のソフトウェアでは、工事進行基準が原則適用となる「工事契約に関する会計基準」が関連してくることになる。

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