放射線画像の完全フィルムレス化でストレージ基盤刷新:静岡県立総合病院(前編)

宍戸周夫(テラメディア) 2009年02月20日 08時15分

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幾何級数的に増大するデータを克服

 静岡県立総合病院は、文字通り静岡県の中核病院。地域医療をはじめ全国でも屈指の医療設備・機器を備え、高度医療や先進医療に取り組んでいる。救急医療、災害医療、僻地医療、結核医療などの政策医療も担う静岡県を代表する大規模総合病院だ。

 特に、その高度医療・先進医療の一翼を担っているのがコンピュータ断層撮影装置(CT)、磁気共鳴診断装置(MRI)、デジタルX線撮影装置(CR)などの画像診断装置。これらの装置や放射線治療機器を中核とした放射線画像システムは、総合病院としての医療サービスレベル向上に重要な役割を果たしている。

 そこで静岡県立総合病院では2006年1月から、放射線画像データの電子化に着手。医療機器ベンダーであるシーメンス旭メディテック(シーメンス)の2台のサーバに分散して画像データを管理しており、長期保存として600枚のDVDチェンジャを装備していた。また、医療情報システム全体では、30台以上の各サーバがネットワーク接続型ストレージ(NAS)や直接接続型ストレージ(DAS)の形でそれぞれディスクを備え、その総容量は3テラバイトに達している。一方、画像データの容量は年々増大、より大容量で可用性の高いストレージ基盤が求められるようになってきた。

岩井聖氏 静岡県立総合病院の医療情報室主査を務める岩井聖氏

 その背景には、画像診断装置の機能向上がある。1検査あたりの画像診断装置のスライス断面枚数は増大し、解像度も急速に高精度化している。静岡県立総合病院医療情報室主査の岩井聖氏はこう指摘する。

 「CT、MRIなどのデータの増え方は幾何級数的なカーブを描いています。CTにしても、人体のスライス断面の数が16から32、64と増大し、それ以外にも画像そのものの高精細化、さらには診断量の増大という要因も加わって、当時のシステムでは2008年12月にはストレージが限界を迎えるということが分かったのです」

 従来のシステムの限界の顕在化に合わせる形で、医療情報室は新たなストレージ基盤の必要性を認識。2007年6月に医療情報室と同病院のシステム企画、管理、運営を担当するシステムインテグレーター(SIer)の静岡情報処理センター(SIC)、そしてシーメンスの3者で、X線、CT、MRIの静止画を対象とした新ストレージシステムの検討を開始した。

マルチベンダー対応が前提

 同病院は県立病院であり、このストレージシステムの導入についても公開調達仕様に基づく一般競争入札が義務づけられている。調達は、最終的に4社の一般競争入札となり、結果、ストレージ部分については、業界大手EMCジャパンが提供するストレージシステムとなった。2008年6月のことである。

内田和将氏 静岡情報処理センター(SIC)の内田和将氏

 なぜEMCを選定したのか。医療情報室に常駐して管理・運用をサポートしているSICの医療システム事業部システム部(県立病院運用担当)、内田和将氏がこう説明してくれた。

 「業界標準の仕様に準拠していることが大前提でした。またマルチベンダー対応のストレージ管理システムが存在すること。そして、導入後のサポート力も重視しました。365日フル稼働が条件で、そのためには病院から30km以内に拠点があることという条件も仕様書に明記しました」

 仕様書の前提になったのは、将来にわたって拡張できるストレージ基盤であるということ。そのため、マルチベンダー対応のストレージ管理機能があり、その業界標準の仕様としてストレージシステムの業界団体であるSNIA(Storage Networking Industry Association)が定めたウェブベースのストレージシステム管理の標準モデルである「SMI-S」(ストレージ管理イニシアティブ仕様)に基づくことなどが求められた。また、EMCを提案したNECは静岡市にも拠点を置いており、運用支援に問題はなかった。

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