なぜ僕は上司にしかられたんだろう?--田代センセーのメンタルテクニック(4) - (page 2)

田代真人(マイ・カウンセラー)

2009-02-26 08:00

  • 「あなたが結果を出せなかった」 → 「上司の得点にならない」 → 「上司が損をする」 → 「(今後上司が損をしないために)あなたをしかった」

 これは今後の彼にとって「得」になることですし、かつ上司として「あなたを育てる」という「良いこと」をしたわけです。もちろんその上司ははっきりとそのことを意識したわけではなく、無意識のうちにそういう行動をとったと思われます。

 ただ、ここでもうひとつ重要な要素があります。そう「好きか嫌いか」の感覚です。この場合の「好きか嫌いか」には、2つのパターンがあります。

  1. その上司が、部下をしかるという行為が「好き」
  2. その上司が、単純にあなたことを「嫌い」

 まず、1.の場合。この場合、あなたが素直に謝りさえすれば、彼は自己満足に浸り、しかる行為を終える可能性が高いでしょう。今後あなたは、その場だけをうまく乗り越えるコツをつかめばいいのです。

 次に、2.の場合。これはやっかいです。人間ですから、他人に対して何かしらの感情を抱きます。日常的に接触している人であれば、「好き、嫌い」といった感情に発展することも自然の成り行きと言えます。こうした感情をしっかりコントロールできる優れた上司であれば問題ありませんが、できない上司の場合は部下が大変です。大抵の場合、部下は上司を選べませんからね。

 いろいろと考えを巡らせ、起こったことに先の3次元グラフの物差しを当てて物ごとの原因を明確にし、フローチャートをなぞるように考えていくと、そのパターンによって上記のような結論が導かれます。

 大切なのは、結論が出てからのあなたの考え方です。

 1.のように「単に上司がしかる行為を好きだった」場合は、たいした問題ではありません。先ほども述べたとおり、その場をうまく乗り越えるコツさえつかめばいいのです。問題は、2.の結論にたどり着いた場合です。どうやら上司に嫌われているらしいという場合は、あなたの今後の行動もそれに対応したものでなければなりません。

 あなたは嫌われているわけですから、ここでしかられたのは単なる「きっかけ」であって、今後も何が「きっかけ」でしかられるかわかりません。彼にとってあなたをしかる行為はもはや「いじめ」に近いものですから、極端な行為であれば、いわゆる「パワハラ」に該当するかもしれません。

 その時あなたはどうするか? ここからは物ごとを整理した考え方のお話しになりますが、それは次回に譲ることにしましょう。

田代真人
筆者紹介

田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク!」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
ご意見、ご感想は mc-info@mycounselor.jp まで。

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