SAPのSybase買収は「コンシューマライゼーション」に通じる

冨田秀継(編集部)

2010-08-25 17:55

 ドイツのSAPがモバイル分野の戦力を強化中だ。Sybaseの買収がその根拠となる。

 SAPのテクノロジ戦略策定に携わる重要な人物に、SAP LabsでSVP Technology Strategyを務めるKaj van de Loo氏がいる。アプリケーションとテクノロジが結びつく場所に目を光らせるLoo氏に、Sybase買収の意義からSAPのクラウド戦略、コンシューマライゼーションなどの技術戦略を聞いた。

註:Loo氏には、SAPがSybaseの買収を完了する直前に取材した。また、特記の無い発言はLoo氏によるもの。

テクノロジ戦略の観点からいって、SAPはどのような意図でSybaseを買収したのか?

Kaj van de Loo氏 Kaj van de Loo氏

 主たる目的は「モバイル」だ。SAPは、新しいアプリケーションの(利用)シナリオをモバイルデバイスで展開する点に関心を持っている。

 最初の世代のモバイルアプリケーションは、デスクトップアプリケーションをモバイルデバイスに載せただけのものだった。それに大きな価値はあったであろうし、だからこそSybaseはこの分野で成功したのだろう。しかし、長期的には異なった視点が必要になる。

 現在のITシステムの姿は、おおよそ次のようなものだ。まず、基幹システムの上にSAPのアプリケーションがある。このインフラと(切り離されたかたちで)別個にモバイルインフラがあり、その上にモバイルアプリケーションがある。これらはバラバラで独立したものだ。

 SAPが今後こうなるだろうと考えているのは、モバイルアプリケーションが通常のITインフラの上に乗るという方向だ。モバイルアプリケーションは、全体のシステムと融合するようになるだろう。

Sybaseのテクノロジを活用したモバイルアプリケーションの新たな利用シナリオとはどのようなものか?

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