Windows 8はどうなる?--次期Windowsの概要を紹介(後編)

Nick Heath (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-03-16 07:30

(編集部注:この記事は、前編と後編の2回に分けて公開されています。前編は2012年3月14日公開の「Windows 8はどうなる?--次期Windowsの概要を紹介(前編)」です)

--「Windows 8」にすると、企業にとってどんないいことがあるの?

 Windows 8には、企業向けの機能もいろいろと搭載されているんだ。例えば、コンシューマライゼーションへの対応の管理や暗号化、リモートアップデート、仮想化を支援する機能なんかがそうだ。こういった機能は、Microsoftのウェブサイトからダウンロードできるプレビュー版に含まれているものもあれば、同社のドキュメントで言及されているものもある。

 まず、デスクトップPCやノートPC、タブレットに同じOSを搭載できるという点について言えば、従業員がオフィス内で働いていようと、オフィス外で働いていようと関係なく、同じコンピューティング環境を提供し、管理していきたいと考えている企業の目には魅力的に映るだろうね。

 企業向けの機能の多くは、オフィスの外でも仕事をしやすくしたいというニーズから出てくるものだね。例えば「DirectAccess」を用いることで、VPN接続を利用しなくても遠隔地から企業システムにアクセスできるようになる。ただ、Microsoftはこの接続をどうやってセキュアなものにするのか、まだ明らかにしていないけどね。また、「Windows To Go」を使うとUSBドライブからWindows 8を起動できるようになるから、従業員は会社のデータを自分のパソコンのハードディスクにコピーしなくても、自前のパソコンで仕事ができるようになるね。こういったUSBドライブを「BitLocker」で暗号化し、セキュリティを高めることもできるんだ。それに加えて、オフィス外で働く従業員のコストを抑えられるよう、モバイルブロードバンドのデータ使用量を監視できるツールがあらかじめ搭載されているし、3G通信や4G通信に対するネイティブサポートが提供されたりもしているよ。

 企業は、「Metro」スタイルに則ったエンタープライズアプリケーションを独自に開発できるようになるし、そういったアプリケーションの集中管理、更新、配布もマネージャから行えるようになるんだ。それに、アプリケーションとそのデータは、企業のファイアウォール内に留めておくこともできる。情報を動的に表示するという「ライブタイル」の機能を使って、自社システムからのフィードをリアルタイムで表示するダッシュボードのような自社アプリケーションを開発することもできるね。

 ITマネージャーの作業を楽にしてくれる機能として、Microsoftの仮想マシンマネージャである「Hyper-V」クライアントのOSへの搭載を挙げることもできるよ。「Windows Server 2008」と互換性のあるHyper-V機能を搭載することで、最高情報責任者(CIO)は1台のマシンから、設定の異なる複数の仮想マシンを管理できるようになるわけだ。

 以前のバージョンのWindowsからWindows 8への移行については、アプリケーション互換性ツールキットやユーザー状態移行ツールといった、移行を支援する自動化ツールによって楽に行えるようになっているはずだよ。

 それに、Officeの次期バージョンである「Office 15」もWindows 8と同様、タッチスクリーンを備えたタブレットでも利用できるようになるんだ。Officeは、従来通りキーボードとマウスでも使用できるけど、Metro方式のタイルインターフェースを採用するために再設計されているんだ。それに、IntelチップやAMDチップ(32ビットと64ビットの双方)を搭載したマシン上だけでなく、ARMプロセッサを搭載したマシン上でも動作するようにコードも書き直されているね。


Windows 8のロゴ

--じゃあ、Windows 8は市場で善戦できそうなの?話を聞いていると、いい線いってるようだけど?

 うーん、それはまだ分からないな。まず、Appleの「iPad」という存在が大きな影を落としているからね。iPadはコンシューマー市場で他の製品を圧倒しているだけでなく、企業市場でも存在感を増しつつあるんだ。Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏が2011年に発表したところによると、Fortune 500企業の92%がiPadを導入、あるいは試験導入しているんだってさ。こういったことからも、Windows 8はMicrosoftにとって、とても重要な製品だと言えるんだよ。

 企業市場におけるさらに深刻な問題として、まだ「Windows 7」の配備を終えていない企業がたくさんあるという事実もあるんだ。市場調査会社のGartnerによると、2011年末の時点で、米国企業で使用されているPCでWindows 7が稼働しているのは約半数ってところだそうだ。多くの企業がWindows 7にアップグレードして間もない、あるいはアップグレードの途中であることを考えると、彼らがWindows 8へのアップグレードをこぞって行うとは考えにくいな。一般的に、企業は約4年ごとにデスクトップOSをアップグレードすると言われているんだけど、もしもこういった企業が行う次回のOSアップグレードが4年後だとすれば、Windows 8へのアップグレードは見送って、より未来色の強いOSを選択するということも考えられる。GartnerのリサーチディレクターであるAnnette Jump氏もこういったことを踏まえて、Windows 8を採用する企業の数は、Windows 7を採用した企業の数よりも「少ないとみて間違いはない」と予想しているんだ。

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