メールシステム再構築では8割以上がオンプレミスを希望

田中好伸 (編集部)

2012-05-23 13:02

 メールシステムの再構築で80%以上が社内運用(オンプレミス)を希望している――。ミラポイントジャパンが5月22日に発表した調査結果で明らかになっている。同社は日本国内の企業や教育機関、政府関連機関などを対象に「メールシステム再構築の懸案事項に関する調査」を3月29日~4月18日に実施。有効回答数は352件となっている。

 既存のメールサーバ環境はオンプレミスの商用メールサーバが68.51%、オンプレミスのオープンソースメールサーバが17.20%、社外のクラウドサービスが14.29%という状況。ミラポイントの2009年の調査ではクラウドサービスが全体の7%だった。この2~3年で増加傾向にあるが、依然として85%以上がオンプレミスでメールシステムを運用している。

図1 メールシステム再構築で希望する提供形態
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 次のメールシステムの構築では、半数以上がクラウドを希望しているが、そのうち半分以上がパブリッククラウドではなく、プライベートクラウドを選択していることも明らかになっている。

 パブリッククラウドを利用すれば、システムの運用管理にかかる人員や費用を削減できる。だが、24時間365日、社内外を問わず企業のコミュニケーションの基盤として稼働するメールシステムについては、事業継続や内部統制の観点から、サーバを他社と共有するパブリッククラウドの利用を躊躇する傾向が読み取れるとしている。

 オンプレミスを希望する層では、アプライアンス型が約38%と首位に。メールシステムを社内運用する上ではセキュリティやコンプライアンス、サービスの継続性などそれぞれのポリシーにのっとりながら、運用管理にかかる人的負荷と費用負荷をいかに軽減させるかが重要となっている。オンプレミス希望層のうち約31%がオープンソースを占めており、構築と運用管理では商用製品よりも手間がかかる傾向があるが、費用面のメリットに期待しているものと見ることができる。

図2 クラウドサービスを検討する上での懸念事項(複数回答)
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 クラウドサービスは、柔軟性やコスト削減という点で注目が集まっており、この2~3年で現実的な選択肢となっている。メールシステムの再構築でも50%以上を占めており、有力な候補になっていることが分かる。だが、そのうちの60%以上はプライベートクラウドだ。メールシステムは組織の情報の大動脈であり、コンプライアンスやセキュリティの点でクラウドの有効性を認識しながらも、メールシステムを外部に委ねるのが最善策かどうかを熟考している状況にあると、ミラポイントは分析している。

 クラウドに対する懸念事項として上位に挙げられているのは、大きく二つ。一つはサービス提供者がうたう事業継続計画(BCP)の信憑性に関するものであり、もう一つは企業で異なるコンプライアンス条件にかなった運用体制を、オンプレミスと同様に実現できるかどうかという観点からの懸念となっている。日本の法律が及ばない外国にサービス提供者のサーバが設置されているのではないかという回答も含まれている。

図3 メールシステム再構築の検討要件(複数回答)
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 メールシステムの再構築を検討する上で重視される検討要件のトップは「総所有コスト(TCO)の削減」となっている。TCOには、初期の導入費だけでなく、運用管理の人的費用とトレーニング費なども含まれるが、調査でも「運用管理の負荷軽減」が3位にランクしている。「スマートフォンへの対応」や「ウェブメールとイントラネットなどの社内システムとの融合」も検討要件に挙がっており、メールシステムの重要性と期待の高さを知ることができると説明している。

 調査対象の従業員数は、5001人以上が31%、1001~5000人が39%、501~1000人が27%、500人以下が3%となっている。

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