中小企業に狙いを定めるベンダーが増えるなか、Dellもハードウェアで攻略を進める
デルが日本で中小企業ユーザーを対象とした2つの戦略的販売キャンペーンを実施した。
ひとつは10月30日に実施した「お試し特別価格 9,999円パソコン！」である。
事前の告知もなく突然行われたこのキャンペーンでは、デルで初めてPCを購入する、あるいは2009年8月1日以降にデルからPCの購入履歴がないという従業員数6〜99人の法人ユーザーを対象に、9999円のお試し価格でPCを提供するという破格のキャンペーンだった。
事前告知がなく、同社サイトで静かに実施されたキャンペーンではあったが、あっという間に予定台数に達したようで、告知から約6時間後の午後2時30分には受付を終了したという。ただし、デルはキャンペーンを通じて販売した台数を明らかにはしていない。
このキャンペーンで提供したのは、通常は4万5980円で販売しているデスクトップPCの「OptiPlex 3010」と、同じく4万5980円の15型ノートPC「Vostro 2520」の2機種。
OptiPlex 3010は、CPUにインテルCeleron G460プロセッサー（1.80GHz）、2GBメモリ、250GBのHDDを搭載。Vostro 2520は、第2世代インテル Core i3-2328Mプロセッサー（2.20GHz）、2GBメモリ、320GBのHDDと、いずれも一世代前のWindows 7搭載PCだ。
しかし、1万円を切る破格の値段でPCを購入できることや、このスペックであれば日本マイクロソフトが提供するWindows 8へのアップグレードキャンペーンを利用することで、1200円でWindows 8に移行できるということもあり、短時間で売り切れることになってしまったようだ。
もうひとつのキャンペーンは、今日（11月19日）まで実施している1万円の特別割引キャンペーンだ。
従業員数6〜99人までの法人ユーザーを対象に、デルから初めてPCを購入する、あるいは2009年11月1日以降にデルからの購入履歴がないユーザーを対象に、1万円引きのクーポンを提供するというキャンペーンだ。
対象となる製品は、ワークステーションがPrecision、デスクトップがVostro、OptiPlex、ノートがVostro、Latitude、、Inspiron 17R、XPSの各ブランド。法人向けに提供されているほぼすべてのシリーズが対象になる（一部カタログ掲載モデルを除く）。
デルがこうした中小企業向けの特別キャンペーンを開始している背景には、中小企業市場が今後の成長を支える分野だと認識している点が見逃せない。
米Dellが11月15日（米国時間）に発表した2013年度第3四半期（8〜10月）の業績では、大企業向け、公共分野向け、コンシューマ分野向けビジネスがそれぞれ大きな落ち込みを見せるなか、中小企業向けビジネスは前年同期比1％減と、最も減少幅が少なかった。今後の業績回復に向けて中小企業分野での取り組みがドライバーになると捉えている点が見逃せない。
さらに、IDCによる2012年1〜6月の調査で、国内の従業員99人以下の中小・中堅企業向けデスクトップPCの出荷台数で、デルが首位になったことを記念するといった狙いもあったようだ。
デルの日本法人は、2013年には営業開始から20年目を迎えることになるという。
そうした意味でも、来年にはより積極的なキャンペーンや製品投入も期待できそうだ。
今回の中小企業向けの戦略的なキャンペーンも、それを踏まえた「前哨戦」とみることはできないだろうか。
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