コンカー、2013年に5つの新サービス提供へ--第1弾「Concur Invoice」

冨田秀継 (編集部)

2013-02-26 17:59

 経費精算ソリューションをクラウドで提供するコンカーは2月26日、新サービス「コンカー インボイス」を同日から提供すると発表した。請求書支払いの運用管理をSaaSで提供する。また、2013年中に出張管理などに関連する5つの新サービスを国内向けに提供したい考えだ。

 コンカーは2012年2月に経費精算の運用管理サービス「コンカー エクスペンス」の提供を開始。今回発表したコンカー インボイスは請求書支払いの運用管理サービスだ。これにより、間接費を二分する「従業員立て替え経費」と「請求書支払い」を、それぞれエクスペンスとインボイスが対応する体制を整えた。

三村真宗氏
三村真宗氏

 同社代表取締役社長の三村真宗氏は「インボイスの提供によって、コンカーは直接費用を除く間接費のすべてをカバーすることになった」とポートフォリオ拡充の意義を強調した。

 一方、材料費や人件費などの直接費は、所轄部門の専門ユーザーがSCMやHRシステムに入力し、会計システムへとつないでいくやり方が主だ。この分野は「データ中心主義的にERPで連携されていく領域で、これが過去20年(の情報システムで)起こったことだ」と三村氏。SAPジャパン創業メンバーらしく解説してみせた。

  • 直接費と間接費の特徴と課題

  • 従来の経費処理プロセス

  • コンカー インボイスのプロセス

 間接費の高度なIT化は、財務・経理部門だけでなくエンドユーザー(全社員)に関わってくる。そのため、使い勝手の面でERPの普及が困難であり、手作りのシステムや紙ベースでのやり取りが未だに多い領域だという。また、実務面では、従業員と経理部門による二重入力といった生産性と効率性の問題、そして透明性の確保という課題が存在している。

 コンカー インボイスでは、自動入力やCSV形式の請求書の取り込み機能を用意して手作業を削減。また、請求書をスキャンしてOCRで内容を読み取り、自動起票できる機能を今年度中にも提供するほか、請求書入力のアウトソーシングサービスも提供したい考えだ。

 ブラウザ上で入力される請求書情報は、規定に基づいたものかリアルタイムでチェックされる。承認ワークフローに流す前に、請求書のイメージを添付することも可能だ。

 SaaSとして提供されるコンカー インボイスは、スマートフォンやタブレットでの利用も想定。承認者はこれらのポストPCデバイスを活用して、いつでも、どこからでも請求書を承認できるとしている。また、CFOをはじめとする経営層らは経費に関わる分析レポートを活用することも可能だ。

 ベンダー側は、コンカーが提供する「サプライヤーポータル」を通じて支払い状況を随時チェックできるため「問い合わせ対応の負荷も削減可能だ」と三村氏は言う。

新サービス投入で280社までユーザー拡大へ

 同社は2013年にコンカー インボイスを含む5つの新サービスを投入する予定。今回明らかになったのは、国内外のホテル予約と航空券予約を提供する「コンカー トラベル」(2013年中頃)、出張アシスタントを謳うモバイルアプリ「TripIt」(2013年終わり頃)、出張中の従業員の位置を地図上にマッピングするリスク管理サービス「Locate & Alert」(2013年終わり頃)だ。

 これらのサービスはすべて出張の「前工程だ」と三村氏。「前工程の情報がコンカーに入力されていると、驚くほど早く精算が終わる」という。

マイケル・ヒルトン氏
マイケル・ヒルトン氏

 コンカーの導入数は2012年に230社を数えた(日本法人設立前からの導入も含む、同年の純増は20社)。2013年にはこれに50社を積み増し、280社までユーザーを拡大させたい考えだ。

 米Concur Technologiesでプロダクトマネジメント&ストラテジー 上級副社長を務めるマイケル・ヒルトン氏は「コンカーにとって日本は、最も急成長を遂げている市場だ」とコメント。日本でのサービス拡充を約束するとともに、日本法人の成長にも期待を寄せていた。

  • コンカーの2013年の成長戦略

  • 2013年のサービスリリースプラン

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