日立、JP1の最新版「V10.1」を提供--パブリッククラウドとの連携強化

怒賀新也 (編集部)

2013-09-26 10:15

 日立製作所は、統合運用管理ソフト「JP1」の最新版「V10.1」の販売を9月27日から開始し、9月30日に出荷を開始する。2012年10月のJP1 V10発表から、1年ぶりのアップデートになった。クラウド、グローバル、サービス時代に、誰でもシステム運用を最適化できるようにするとのコンセプトのもと、ユーザーの声を聞き、細かな機能改善を施したという。

 日立の情報通信システム社ITプラットフォーム事業本部の開発統括本部で主任技師を務める加藤恵理氏によると、機能改善の柱は2つ。クラウドおよびデータセンター環境への対応強化と、システム運用を自動化するための製品強化だ。

パブリッククラウド、OpenStackを取り込み

日立の主任技師、加藤恵理氏
日立の主任技師、加藤恵理氏

 クラウドおよびデータセンター向け機能改善では、既存のシステムに「Amazon EC2」や「Windows Azure」などを巻き込んだハイブリッドクラウド環境を一元的に管理できるようにした。オンプレミスやプライベートクラウドに、VPNを通じて部分的にパブリッククラウドを組み合わせるハイブリッド構成へのニーズが高まっており、その構成でジョブの実行管理、ネットワーク接続状態の集中監視、リソースやプロセス状態の集中監視などを一元的にできるようにした。

 クラウド基盤の自動化では、12月に「JP1/Automatic Operation(JP1/AO)」でOpenStackの自動運用コンテンツの提供を開始する予定だ。また「JP1/Integrated Management(JP1/IM)」のKVM構成監視への対応もv10.1の強化ポイントだ。

 また、システム監視機能にも細かな機能強化を実施した。監視マネージャーを2重化したほか、「地味ながら、ユーザーの要望が最も多かった」(加藤氏)のが、イベント大量発生時の対応強化だ。これまで、監視状況を示すイベントコンソール画面に「ホストAで障害発生」などの同一メッセージが大量に表示され、状況が把握しにくかったという。今回、同一イベントを集約しやすくし、「ホストAで障害発生(n件集約)」のようにくくれるようにした。また、1つのイベントごとにシステム復旧のための自動アクションが動作していた状況を改善し、不要な自動アクションの実行を抑止できるようにした。これにより、管理者の負担もサーバへの負荷も軽減できるとしている。

 このほか、システム安定稼働のための原因調査支援機能を強化。サービスレベルの低下の原因に関係するウェブアクセス状況をすぐに確認できるようにした。

パブリッククラウドとの連携を強化
パブリッククラウドとの連携を強化

運用ノウハウを盛り込んだコンテンツを拡充

 もう1つの柱であるシステム運用の自動化では、仮想環境の自動運用コンテンツとして「Hyper-V」を追加するなどさまざまな運用ノウハウを盛り込む「コンテンツセット」を拡充した。コンテンツはエディタでカスタマイズできる。さらに、自動化対象のサポート範囲をTelnetおよびSSHで接続できる機器に拡大した。既に対応済みのHP-UX、Solarisに加え、AIXへのリモートコマンド実行も新たにサポートする。WindowsとLinuxについては、シェル転送、実行、リモートコマンド実行、ファイル転送の機能を2012年10月にサポート済みだった。

 2つの柱以外にも、日中英対応のラインアップを拡充するなどグローバル対応にも注力したという。企業が持つPCなどをITサービス会社などが管理するサービス「JP1 IT資産管理サービス」などの提供も始める。

 加藤氏はJP1のロードマップについて「クラウド、グローバル時代の新たな管理を実現する次世代運用管理基盤」と位置づける。製品に加え、サービス拡充によって付加価値の提供に力を入れる。

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