モバイルファーストという不可逆

いまさら聞けない「ワークスタイル変革」の実態とモバイルエンタープライズ(後編)

千葉友範(デロイト トーマツ コンサルティング)

2014-04-24 07:30

 前編では、日本が抱える長時間労働の実態とその要因を説明した。今回は後編。質問者が筆者の千葉、回答者は働き方に関する調査「ワークスタイルサーベイ」を担当したデロイトトーマツコンサルティングの田中公康氏。

「ワークスタイル変革」は何からはじめればいいのか


筆者

 千葉:ワークスタイル変革を実現に関わる分野が、業務だけなくITや人事労務など多岐にわたると、いろんな部署を巻きこむ必要があり投資額が大きくなりそうですね。先ほどのサーベイ結果で多くの会社が、必要性を感じながら成功しないというのはなぜなのでしょうか。

 田中:まさに、「いろんな部署を巻き込み、多額の投資が必要になるかもしれない」ことが、企業の取組みを躊躇(ちゅうちょ)させ、実行を断念させていると考えます。

 千葉:どんな手立てを講じるべきでしょうか。

 田中:大きく2つに分けられます。これは、ワークスタイル変革のプロジェクトに特有のものではありませんが、

  1. グランドデザインを描き、トップダウンで進めていく方法
  2. 小さく初めて、とにかく早く成功体験を獲得する方法

 これは、企業風土や成長ステージにもよりますが、セオリーからするとパターン1ですね。しかし、多くの企業が失敗するパターンは、企画倒れに終わることです。

 企画部門は経営トップにいろいろと提案して変革にチャレンジしますが、多くの会社で問題になるのは、それを実行する現業部門が本気になれないということです。むしろ、抵抗勢力になってしまうことに悩まされているというのが実態だと思います。

 千葉:小さな成功体験を積み重ねることが、成功に導くということになる。

 田中:はい。しかし、これはわかりやすいパターンではありますが、経営者サイドからすると「いつ効果が出るか」「いつまでトライアルをしているか」といったスピードに関する指摘や時間がかかりすぎて、本来の目的が見えなくなり、なし崩し的に失敗に終わるケースも見受けられます。

 パターン1でも、パターン2でも、将来を見通したうえできちんと青写真を描くことが最も重要であり、成功のポイントです。

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