レッドハット、OpenStack製品をパートナー販売--3年でエンジニア5000人を育成

三浦優子

2014-05-26 13:23

 オープンソースソフトウェア(OSS)でIaaS基盤を構築、管理する「OpenStack」の勢いが増してきた。

 レッドハットは5月22日、14社のパートナー企業と販売契約や協業で合意。これまで直販で展開してきた「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL OSP)」のパートナー企業経由での販売を始めた。

 ワールドワイドでは同様の販売提携、協業をスタートしており、225社のパートナーとのエコモデルを構築し、すでに900のアプリケーションが存在する。この中に日本語アプリケーションはなく、今回の販売契約と協業の合意を皮切りに、日本で商用OpenStackのクラウド構築支援サービス、エンジニア育成などを進め、OpenStackの商用利用を増やしていく計画だ。

廣川裕司氏
レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏
RHEL OSPのパートナー企業 RHEL OSPのパートナー企業
※クリックすると拡大画像が見られます

 レッドハット代表取締役社長の廣川裕司氏は、「調査会社によれば、OpenStackは2012年時点で20億円程度の市場規模であったが、2016年には322億円に成長すると試算されている。これだけ市場が伸びるものは限られているが、OpenStackはそれだけ期待されている。当社は大企業向けOpenStack市場を牽引していく」と市場拡大に意欲を見せている。

ミッションクリティカルなOpenStack

 レッドハットは今回、日本のパートナーとして伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、SCSK、サイオステクノロジー、シスコシステムズ、新日鉄住金ソリューションズ、TIS、デル、日本IBM、NEC、日本ヒューレット・パッカード(HP)、ネットワンシステムズ、日立製作所、富士通、ユニアデックスの14社と販売契約と協業で合意した。

 「レッドハットは2002年に初めて企業向けLinuxのディストリビューションを開始し、日本では2003年からビジネスを開始している。そこから11年経ったが、今回の発表は次の10年に向けた発表となる。日本のITを支えるSIパートナー各社に支えられ、大企業向けOpenStack市場を開拓していく。これまで直販で製品を販売してきたが、これはパートナーの皆様がOpenStackをテストする意味での購入も多かった。商用販売はこれから本格化する」(廣川氏)

Tim Yeaton氏
Red Hat インフラストラクチャ ビジネスグループ シニアバイスプレジデント Tim Yeaton氏

 OpenStackでは、Red Hat自身もコミュニティに参加し、開発に協力してきた。「当社はLinuxでナンバーワンのコミッターとしての地位を確立したが、OpenStackの開発でも大きな貢献をしている。われわれが持っている経験と知識は、どうすれば堅牢でミッションクリティカルなOpenStackの提供ができるのかを理解している」(米Red Hat インフラストラクチャ ビジネスグループ シニアバイスプレジデント Tim Yeaton氏)

 RHEL OSPは、企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に最適化されたOpenStackディストリビューション「Red Hat OpenStack」とRHELベースの「Red Hat Enterprise Server」が統合されている。RHEL OSPでは、ミッションクリティカルなサポートを提供しハードウェア、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア認定によるエコシステムを構築していく。

 特にエコシステムでは、現段階ではワールドワイドで225社のパートナーが存在し、認定ソリューション数が900存在するなど、世界最大のOpenStackパートナーエコシステムという。

 今回、日本のパートナー14社との提携で商用のOpenStackのクラウド構築支援サービスの提供、2013年2月発表の「Red Hat Developer Program」を拡張し、パートナーのOpenStackエンジニアの増加とスキル増強を進める。今後3年で5000人のエンジニア育成を目標とする。

RHEL OSPの構成

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]